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SNSでは癒しの「柴犬」「豆柴」で溢れていますが... 何を間違えると凶暴になるのか?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:アフロ)

いまやSNSを開くと、布団をかけて寝る「柴犬」、庭に落ちている「柴犬」、雨が苦手な「柴犬」などで溢れています。ネットで見かける柴犬や豆柴は、ただ、ただかわいくて癒しの存在です。そんな柴犬が、人を噛んだりするのでしょうか。先日、逃げ出した柴犬が幼児などを含めて5人噛むという事件がありました。柴犬が、本当に人を噛んだりするなど凶暴なのでしょうか?

柴犬とは

昔から本州各地で飼われ、ヤマドリ・キジなどの鳥やウサギなどの小動物の狩猟に使われていました。つまり猟犬なのです。一般に飼い主には、しつけをちゃんとすれば、従順で言うことを聞きます。つまり非常に忠実ですが、他の人には、馴れ馴れしくないです。警戒心も強いので番犬にも適しています。そんな基本的な性質があります。

豆柴とは

普通の柴犬より小型の柴犬がそう呼ばれています。しかし、「豆柴」と明記した血統書は発行されていません(豆柴は販売上の商品名です)。豆柴は、成長期に餌をもらっていなかったりして、弱い子もいるので注意してくださいね。性質などは、柴犬とほとんど同じです。

柴犬は人を噛むほど凶暴なのか?

もちろん全部の柴犬が人を噛んで凶暴というわけではありませんが、人を噛むこともあります。

SNSでの柴犬は、文字通りぬいぐるみのようで、もふもふしています。いま、ネットで見かける子たちは、「噛む」という単語が、似合わない愛しい存在になっています。

しかし、20年以上の前の柴犬は、触ると噛まれるのは当然という子が多かったです。獣医師が、治療をするときに、注意を払う犬のひとつでした。おとなしくシャンプーをしてもらっているSNS上の動画などを見ると、時代は変わったのだな、と思います。以前は、診察しようとしたら、鼻に皺を寄せて怒っていた柴犬は、どこに行ったのかと思います。柴犬の性格を見てみましょう。

柴犬の性質

柴犬の性格は、日本人のような感じです。日本人は、スキンシップをあまり好みません。一般的にゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーはフレンドリーで、人が大好きですね。そんな柴犬は少ないです。以下のような性質です。

・飼い主に従順

・気が強い

・見た目より繊細

気にいらないことがあると攻撃的な行動に出る柴犬もいますが、それではデリケートな性質だからです。攻撃するということは、恐怖心から出ることもあります。

・スキンシップが苦手

触られるのが苦手なので、しつこく撫でるのはよくないです。その辺りが、ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーと違うところです。

・束縛されるのが嫌い

・好奇心より警戒心が強い

部屋にある知らないものや新しいオヤツなどには警戒します。慣れない環境下では、慣れるまで時間がかかります。

・知らない人や犬と関わることは苦手

警戒心が強いので、知らない人や犬とすぐに仲良くなれません。ドッグランなどに行くときは、その性質を知らないとトラブルになりますので、気をつけてくださいね。

柴犬の飼い方

いまの柴犬は、以前よりおとなしくなりました。でも、トラブルがあると犬も人も困るので、しっかりした飼い方をしましょう。以下のポイントになります。

・子犬の頃から、スキンシップを

先述したように、柴犬はカラダを触られることがあまり好きではありません。

子犬のときからたくさん触ってあげることで、成犬になると、慣れることが多くなります。そうしないと、首輪の付け替え、足を拭く、歯磨きなどが難しくなります。古くなった首輪の交換が難しく、鎮静剤を注射して新しい首輪をつけたこともあります。

・運動は十分に

柴犬は、体重が10キロ(豆柴は、5キロ前後)近くあります。やはり運動不足になると、外で飼っている場合は、逃げ出して、トラブルを起こすことがあります。朝晩、最低でも、30分はしてあげましょう(シニアになれば、もう少し控えることができます)。

・できれば、不妊手術を

メスの場合は、発情すれば、オスが寄ってくるので、散歩には気をつけないといけません。そして、その時期は、家出することが多いです。

オスは、生後6カ月過ぎから発情が来るので、そうなれば、テリトリー意識が強くなるので、喧嘩などをしやすくなります。不妊手術をしておくと、男性ホルモンが出ないので、おとなしくなる子が多いです。

柴犬の散歩

散歩中もよくトラブルがありますので、以下のことに注意してください。

・リードは短く。

犬が好きな犬が寄ってくることもあるので、短く持って、他の犬と距離を取るようにしましょう。リードが切れるとよくないので、新しいものを着用しましょう。

・首輪は頑丈なものに、もしくは胴輪に。

首輪だと、引っ張ったときに、抜けてしまう可能性があります。胴輪だと、首輪より安全です。リードをつけるジョイントのところが、しっかりしているか、散歩の前に確かめましょうね。

・人には近づかさない

犬好きな人は、すぐ撫でようとしますが、嫌がり、噛む子もいます。スキンシップは、慎重にしてあげてくださいね。

まとめ

コロナ禍でペットブームになりました。SNSを眺めていると、柴犬や豆柴を飼いたくなる人もいるかもしれませんね。

基本的な性格や飼い方をしっかり勉強してからにしてくださいね。犬が人を噛んだ事件を目にする度、犬には罪はないといつも思います。その犬に合った飼い方やしつけをしていると、トラブルはないですから。子供のときに、犬に襲われると恐怖心が残りますので特に心苦しいです。筆者は、幼い頃、スピッツに噛まれたことがあり、小学校までは犬は苦手でしたから。犬の習性を知って、犬も飼い主も楽しい生活を送ってもらいたいものです。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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