あなたの松葉杖の使い方、あってる?【理学療法士がいろんな杖をご紹介します】
田舎の民間病院で理学療法士として勤務しているぴぴです。
みなさまにひとつでもためになるような知識や情報をお届けしていきたいと思います。
今回のテーマは松葉杖
脇あてがついており、その下に握るところ(グリップ)があるのが松葉杖です。
「足にギプスを巻いた人が使っている」というイメージを持つ方が多いかと思いますが、ケガ以外にも松葉杖の活躍場面があります。
どんな人におすすめ
捻挫(ねんざ)や骨折はイメージ通りだと思います。
股関節症や下半身麻痺の症状がある方は、足だけで体重を支えることが難しいことがあります。
松葉杖を使用すると腕の力も使うことができます。足にかかる体重を分散させ、ケガやその他症状の悪化を防ぐことが目的です。
上肢機能には問題がない方に使用をおすすめしています。
松葉杖を使用するときに注意すること
前後左右にスペースを確保しましょう
松葉杖は両手で2本の杖を操作しながら歩きます。
正面から見たときに、松葉杖が「ハの字」になるように横に広がるため、横のスペースが必要です。
また、使い方によっては、身体を振り子のように振りながら前進する歩き方もあるため、前後のスペースも広くとっておく必要があります。
部屋や廊下の幅が狭いと非常に危険ですので注意してください。
脇でもたれない
松葉杖の高さは、グリップを握って体重をかけたときに、脇と松葉杖のあいだにこぶし1個分くらいのスペースが取れる高さです。
脇当てに体重をかけてもたれるのではなく、脇当てを脇で軽く挟み、グリップに体重をかけるようにして使用します。
脇に体重をかけると、脇の下を通る神経を圧迫して腕や指が麻痺してしまったり(腋窩神経麻痺)、血行が悪くなることがあります。
使い方に不安がある場合は理学療法士などの専門職へお尋ねください。
高さの調整方法
脇あての高さ
松葉杖の長さは、使う人の身長から約40cmを引いた長さが目安といわれています。
「脇の下に拳やたまごが1つ入るくらい」とお伝えすることが多いです。
しかし個人差があるので、使う人が扱いやすく、神経障害などのリスクを回避した高さへ設定できるよう、理学療法士などの専門職と相談してみましょう。
長さの調整ができる松葉杖もあるため、1度でぴったり合わなくても使いながら検討していくこともあります。
グリップの高さ
グリップ(握るところ)の高さ
グリップの高さは、肘を30度くらい軽く曲げた状態でグリップを持てる位置にし、股関節(足の付け根)の高さが適切だといわれています。
松葉杖の先端がつま先と足の小指側から15cm離れた位置で、松葉杖を固定して正しく調節しましょう。
その他に注意すること
体格に合わせた松葉杖を選ぶために、普段履いている靴を着用して高さ設定をしましょう。
また松葉杖の長さは、前述の「身長-40cm」に当てはまらない方もいます。
猫背などで実際の身長と見かけの身長に差がある場合などは、理学療法士などの専門職に相談し、身体に合った松葉杖を合わせてもらうようにしましょう。
まとめ
出先では、脇でもたれるように松葉杖を使用している方を多く見かけます。
一時的にはもたれられて楽に感じるのですが、神経や血管を圧迫してしまい、とても危険です。
今回の記事を参考にしていただき、正しく松葉杖を使って、ケガや障害とうまく付き合えるきっかけになるとうれしいです。