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レンドーンがアウェーの観客に拍手で迎えられる。皮肉ではなく…

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンソニー・レンドーン(ロサンゼルス・エンジェルス)Aug 9, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月9日の2回表、ナショナルズ・パークの観客は、打席に入ろうとするアンソニー・レンドーン(ロサンゼルス・エンジェルス)を拍手で迎えた。球場全体のスタンディング・オベーションとまではいかなかったものの、なかには、立ち上がった観客もいた。それに対し、上の写真のように、レンドーンは手を上げて応えた。

 2019年のオフにFAとなるまで、レンドーンは、ワシントン・ナショナルズに在籍していた。2011年のドラフトで全体6位指名を受け、2013年にメジャーデビューした。

 2017~19年は、3シーズン続けて40本以上の二塁打を打ち、このスパンのトータルで、打率.310と出塁率.397、83本塁打と129二塁打、OPS.953を記録した。この3シーズンとも、OPSは.900を超えた。

 レンドーンが最後にナショナルズでプレーした2019年に、ナショナルズは、モントリオール・エクスポズ時代を含め、初めてワールドシリーズに進出した。そして、4勝3敗でヒューストン・アストロズを下し、優勝を飾った。

 レンドーンは、ポストシーズンの17試合すべてに「3番・三塁」として出場し、打率.328(61打数20安打)と出塁率.413、3本塁打と7二塁打、OPS1.004。犠牲フライも3本打ち、計15打点を挙げた。

 2勝0敗から3連敗を喫して迎えたワールドシリーズ第6戦は、1回表にシングル・ヒットで先制点を挙げ、1点リードの7回表に2ラン本塁打を打ち、9回表は二塁打でリードを5点に広げた。

 ちなみに、この試合で8.1イニングを投げて2失点のスティーブン・ストラスバーグは、第2戦の6イニング2失点と合わせてシリーズMVPを受賞し、レンドーンと同時にFAとなった。2人とも、手にした契約の年数と総額は同じだ。ストラスバーグは、ナショナルズと7年2億4500万ドルの再契約を交わした。レンドーンは、7年2億4500万ドルの契約でエンジェルスに入団した。

 レンドーンがナショナルズ・パークでプレーしたのは、2019年のワールドシリーズ第5戦以来だ。5年近い歳月を経て、ナショナルズ・パークの観客の前に登場したレンドーンは、すべてシングルながら、3本のヒットを打ち、3本目のヒットに続き、盗塁も記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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