神様が警察署長に!?―元阪神タイガース・桧山進次郎氏、故郷で一日警察署長を務める
■「桧山進次郎と誓う交通事故ゼロキャンペーン」
2013年シーズンでプロ野球を引退した桧山進次郎氏(現スポーツコメンテーター)が警察官に転身か!?
いやいやそんなわけはない。実は先日、生まれ育った京都で初めて「一日警察署長」を務めたのだ。
9月21日から30日にかけて「秋の全国交通安全運動」が展開され、そして10月11日から20日にかけては「全国地域安全運動」が実施される。
そこで下京警察署は下京区役所とともに9月20日から1ヶ月間、「おもてなしのまち下京区 安全安心強化活動〜秋の陣」と銘打って活動を行う。そのスタート式の陣頭指揮を執る「一日警察署長」に、平安中学、平安高校(ともに現 龍谷大学付属平安)時代の6年間、下京区にある学び舎に通学した桧山氏に白羽の矢が立ち、「桧山進次郎と誓う交通事故ゼロキャンペーン」というタイトルのもと、9月20日、委嘱のセレモニーが行われた。
■思いやりが事故を防ぐ
司会者に紹介されて登場した桧山氏の、そのあまりに似合う警察官の制服姿に歓声が上がる。引退して3年経っても、その人気は未だ健在だ。「一日警察署長」の命を受けた桧山氏は、自らの思いを吐露した。
「自分も中学、高校と自転車通学をしていて、気をつけて安全運転していても、ぶつかりそうになったり危険な目に遭ったりすることもあったし、また自分が油断したがために相手に迷惑をかけたこともあった。ひとりひとりが思いやりの心を持って考えたり行動したりすれば、未然に防げる事故はたくさんあると思う。何事も心を持って接すること、ひとりじゃないということを肝に銘じて生活していくこと。そうすれば明るい未来が作れると思う」。
また故郷・京都にひとかたならぬ思い入れのある桧山氏、「生まれ育った京都の町が少しでも活気づいてくれれば。この下京区民の皆さんから京都へ、そして全国へ、いい町づくりを発信できれば。ひとりひとりの思いやりが安全な町を作る。一致団結して、よりよい町になるよう頑張りましょう!」と呼びかけた。
実は9月19日現在、京都府内の事故件数、事故による負傷者や死者の数は昨年の同時期に比べて減少している。しかし下京区におけるその減少率は府内と比較すると低い傾向にあり、事故による死者は既に3人出ている。そこで「信号無視」や「スマホを見ながらの運転」などしないよう、下京警察署では交通ルールの順守をより強化する啓発活動に力を入れているのだ。
「桧山さんが野球のルールを守られているように、区民の皆さんも交通ルールを守ってほしい」と、下京警察署長からも区民に訴えた。
■母校の後輩たちも一緒に・・・
セレモニーには桧山氏の母校の後輩たちもかけつけた。自転車部の代表5人には「自転車安全利用推進委員」の委嘱状の交付が行われ、“桧山署長”から手渡された。
今年6月から下京警察署で実施している「下京SAFETY8」に高校生も協力し、交通安全の意識を高めていこうというものだ。
そのほか、吹奏楽部の演奏やチアダンス部の演技もセレモニーに花を添えた。手拍子をしながら見守った桧山氏は「ボクの在校中は男子校だったから、こんな華やかなのは見たことがない。感動した」と話し、続けて「感動するというのは生きている証拠。命を大事にするためには思いやり」と改めて安心安全な町づくりを訴えていた。
■野球以外でも常に全力投球
セレモニー終了後、制服を脱いだ桧山氏がポツリとつぶやいた。「なんか肩の荷を降ろした感じ。ホっとする。引退してユニフォームを脱いだときの感じと似ている…」。ほんの数時間の「一日署長」なのに、どれだけの精力を注ぎ込んでいるのか!
その瞬間は本気で署長として考え、署長として振る舞っていた。「署長がふにゃっとしていたら、みんなも締まらんやろ。だから今日は敢えてあまり笑わんかったんや」と、いつもの弾ける笑顔まで封印していた。常に与えられた場所、求められる役どころに全力投球するという桧山氏らしい。
このセレモニー、本来ならば京都駅地下のショッピングモールにおいて一般市民の前で開催する予定だったが、あいにくの台風の影響により、場所を下京警察署内に移して非公開で行われた。しかしこの模様は後日、動画で配信される予定だという。
“桧山署長”の言葉を聞いて、下京区民はもちろん、全国的に今一度、安全安心強化の意識を高めたいものだ。
桧山進次郎氏の過去記事⇒引退から1年・・・「代打の神様」桧山進次郎氏の今