猫の飼い主だったお母さんが亡くなり、次の飼い主のお父さんも。飼い主の死後、引き継ぎはどうする?
昭和の時代は、多頭飼育崩壊という言葉はあまり聞かれませんでした。そして、猫は、外と家を出たり入ったりする動物として飼育されていました。昭和生まれの飼い主だと、猫を外に出す人も割合に多くいます。
多頭飼育をしていた猫好きのIさんのお母さんが亡くなりました。
そして、お母さんが生きているときは、猫の世話をあまりしていなかったお父さんが世話をするようになりました。お父さんが亡くなった後、猫の世話はIさんたち夫婦に回ってきたようです。
今日は、実家の猫問題について考えましょう。
Iさん家の猫事情
「あまり慣れていない猫ですが、連れて行っても大丈夫でしょうか?」とIさんから電話がかかってきました。
連れてこられた黒猫は、キャリーバッグの中で怖いのか、じっとしていました。「病院にあまり来てないので、暴れるかもしれません」とIさんに言われたので、黒猫はキャリーバッグから洗濯ネットに入れました。Iさんは、血液検査も希望しましたが、あまり押さえつけるのもよくないので、今回は見送り、混合ワクチンの接種とノミやダニや消化器官寄生虫などの駆除をしました。
「この子たち、主人の実家の猫なのですよ。お母さん、お父さんも亡くなって、エサと水とトイレの世話はしているのですけれど、どうしても家から出て行くのでね。引き取ろうかと考えています。それで、ご相談を兼ねて、診察に来させてもらったのです」とIさんは言いました。
筆者が「他に猫がいるのですか?」と尋ねたところ全部で4匹いるとのことでした。4匹ということは、目の前の黒猫以外にもいるということなので「不妊去勢手術はされているのですか?」と思わず聞きました。
その辺りは、しっかりされていて、不妊去勢手術は済んでいました。だからIさんのところの猫は、4匹から増えることはありません。
エサと水とトイレの世話をしていたら、それで大丈夫と思う人も多いですが、Iさんのすばらしいところは、完全室内飼育がよいと考えているところです。
完全室内飼いする方法
以前の飼い主が、猫を外に出していたら、すぐに完全室内飼いにするのは難しいですが、時間をかけて、やっていくとできないことはありません。以下のことをしてください。
・不妊去勢手術をする
雌猫の場合は、交配したいという行動がなくなるので、あまり外に出なくなります。雄猫もテリトリーが気にならなくなるので、外に出にくくなります。
・猫の頭数+1個以上のトイレ
不妊去勢手術をしていても外に出たがる理由は、排泄です。好きなところでしたいなどがあり、トイレの数が少ないと他の猫がしていて、気にいらないこともあります。
・猫のトイレは清潔に
トイレが汚れているとそこに排泄をしないで、外に行きたがる子もいますので、いつでも清潔にしてあげましょう。
・エサを決まった時間におく
猫を飼っている人は、エサはちゃんとおきましょう。これは飼うことの基本です。
・エアコンで室温を夏場なら24度以下にする
あまり暑いと涼しいところを求めて、出ていくこともあります。室内に閉じ込めるのですから、快適な温度にしておかないと熱中症になることもあるので、室温管理は大切です。
・猫じゃらしなどで上下運動をする
猫は、運動不足なので筋トレしようとか考えないので、飼い主が遊ぶことで運動させてストレスをためないようにしてあげてください。
このようなことを気長に続けていると完全室内飼いになってくれます。
猫の飼い主の中には、不妊去勢手術をしておけば猫が増えることがないので、外に出してもいいと思っている人もいるかもしれません。しかし、猫のふん尿が近所に迷惑をかけるのです。やはり完全室内飼いがいいです。
それ以外にも、世の中には、猫にイタズラをする人もいるので、危険な目に遭わないように完全室内飼いがいいです。
猫の飼い方は、時代によって違うので、その辺りをアップデートして、実家で猫を飼っている場合は伝えることは大切です。
夏の帰省シーズンになりました。実家に行ったら、猫が増えていないか、ちゃんと不妊去勢手術をしてあるのかをしっかり確認しておいてください。両親に尋ねることで、もしも親になにかがあっても猫もずっと幸せに暮らせることを切に願っています。