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藤井聡太王位、連勝で走るか? 渡辺明九段、追いつくか? 7月17日から王位戦七番勝負第2局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 7月17日・18日、北海道函館市「湯元 啄木亭」において伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦七番勝負第1局▲渡辺明九段(40歳)-△藤井聡太王位(21歳)戦がおこなわれます。棋譜は公式ページをご覧ください。

 第1局は藤井王位先手で始まり、2日目午後に千日手となりました。両対局者は第2局前日のインタビューで、次のように答えています。

藤井「第1局では先手番で千日手にしてしまったというところがあったので。やはりそのあたり、少し積極性な姿勢を欠いたかな、というようなところもあったので。この対局以降、修正していけたらというふうに思ってます」

渡辺「1局目は千日手っていう、ちょっと意外な形から始まったんですけど」「千日手局はすごい進行が遅くて。2日目の午後になっても駒がぶつからなかったんですけど。最近の2日制の中ではすごい遅い進行になったので。少ない持ち時間の中で中終盤、どれぐらいやれるかっていうところは、自分でも、そこはどういう感じの戦いになるかな、というところではあったんですけど。実際、中終盤に入ることなく千日手っていうのはちょっと、意外な形ではありましたね」

 指し直し局は渡辺九段先手。渡辺九段が勝勢を築くも、最後に詰みを逃し、藤井王位の逆転勝ちとなりました。

渡辺「指し直しの将棋は最後、勝てるチャンスはあったので。やっぱりそれを逃してしまったっていうのはまあ・・・。やはりちょっと終盤に課題が残るっていうのは、いつものことではあるんですけど。そこをさっそく露呈してしまったんで。2局目以降もやっぱりそういった課題は残るのかなとは思うんですけど。その中でやっていくしかないかのな、とは思います」

第2局は渡辺九段先手

 現在のタイトル戦番勝負は先後に関して「一局完結方式」が取られており、第2局の先手は渡辺九段となります。

藤井「第2局、後手番で迎えることになるので。まずは序盤で遅れを取らないようにして。中終盤の難解な将棋を指せるようにがんばりたいと思います」

渡辺「(第1局は)そんなに作戦的にうまくいってたかって言われると、ちょっと微妙なところではあるので。そのあたりは、同じ手番でまたありますので。ちょっと修正とかは加える必要はあるのかなと思っています」

 両者の対戦は昨年2023年の名人戦七番勝負以来。通算対戦成績は藤井21勝、渡辺4勝です。

藤井「最近の渡辺九段の将棋を見ていると、戦型選択なども本当に、より幅広くなっているかなという印象もありますので。そのあたり、やっぱりこちらがしっかり対応していかなくてはいけないなというふうには思っています」

渡辺「(藤井王位との対戦は)1年ぶりというところはあったので。自分としては藤井王位への対策っていうのを考えるのも1年ぶりでしたし。実際、タイトル戦で盤をはさむっていうのはすごい久しぶりでしたし。そういった中で1局目はやっぱり、1回やってみて、またちょっと1年前の感触が蘇ってきたようなところもあるので。そのあたりは1回やって、2局目以降はよりスムーズにむかえるのかな、というところはあります」

 今年度成績は、藤井王位は10勝4敗。渡辺九段は4勝5敗です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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