猫と人間は大昔から仲良しだった?日本にはいつやってきたの?
猫(この記事では「イエネコ」を指します。)と人間は、長い歴史を共に歩んできたパートナーです。今世界中で愛されるペットとして、私たちの生活のなかで癒しの存在となっています。
しかし猫と人間が最初から仲良しだったわけではありません。猫の祖先は野生動物リビアヤマネコであり、かつては人間にとって脅威となる存在でもありました。
では、猫と人間はどのようにして「友達」になったのでしょうか?
そこで今回は、猫と人間の9500年の歴史を振り返りその関係性がどのように築かれてきたのかなど紹介します。猫好きさん、猫の飼い主さん必見の内容です。
1.猫の祖先は「リビアヤマネコ」
猫の祖先は、約13万年前に中東の砂漠などを生息地としたリビアヤマネコです。リビアヤマネコは、ネズミやトカゲなどの小動物を捕食する小型の肉食動物。ペットの猫とそっくりな容姿をしています。
この動物が猫の祖先と解明されたのはたった十数年前のこと。2007年に発表された「サイエンス」に記載された論文で、科学的に証明されました。
2.猫と人間がライバルから「共生する関係」になった理由
先述しましたが、肉食動物であるリビアヤマネコは、当初人間にとって食を争う「ライバル関係」にありました。
そんな関係だった両者ですが、やがて共生関係を築きます。その理由は、ヤマネコがネズミなどの害獣を駆除する「益獣」としての価値があったからです。
人間は農耕を始めると穀物を保管する倉庫を建てるように。しかし穀物を狙って倉庫に侵入したネズミやトカゲなどの害獣は、人間に被害をもたらす存在でした。
そんななか、ネズミやトカゲなどの小動物を捕食する肉食動物リビアヤマネコは、倉庫に侵入してネズミなどの害獣を捕食することで、人間の穀物を守ってくれました。
こういった経緯から人間はリビアヤマネコを家畜化し、人はヤマネコに穀物を守ってもらう・ネコは倉庫に来た小動物を獲物にするという「共生関係」が築かれ、ライバルから友達となったのです。
3.猫と人間の歴史
3‐1.【約9,500年前】人と暮らし始める
まだしっかり解明されてはいませんが、共生関係が築かれ人と猫が暮らし始めたのは、約9500年前とされています。
その証拠となるのはキプロス島の遺跡から、約9500年前の猫の骨が発見されたことです。この骨が人間と一緒に埋葬されていたことから、この時代から猫がすでに人間と共生していたのだろうと推測されていています。
また約5,000年前の古代エジプトでは、ネズミといった害獣から穀物を守ってくれる「守りの神様」として崇められてました。有名な神「パステト」は頭部が猫のかたちをしており病気や悪霊から守ってくれると、人々に信仰されていたのです。
このように人と猫の関係は少なくとも5,000年前には、最新科学では9,500年前から続いていると考えられています。
ちなみに…犬は2万年前から人と暮らしており、猫とはより長い歴史をもっているんですよ。
3‐2.【弥生時代(約2,000年前)】日本にも進出
では日本人と猫はいつから暮らしていたのでしょうか?これは諸説ありますが「弥生時代」に中国から渡ってきたといわれています。
というのも日本最古の猫の骨は、2011年に長崎県壱岐市のカラカミ遺跡から発見され、弥生時代後期(約2000年前)のものと考えられているからです。
また奈良時代の書物「万葉集」には、猫のことが「子猫」「猫の目」などの名前で数多く詠まれています。これらのことから、弥生時代から日本に猫が存在していたことが推測できるのです。
3‐3.【平安時代】ペットとしての「猫」の始まり
弥生時代から人と猫は暮らしていましたが、もちろんこのころはペットではなく、「ネズミ取り要因」として一緒に暮らしていただけ。
しかし平安時代にもなると貴族の間でペットとしても珍重されるようになりました。
そして江戸時代では、害獣駆除だけでなく絵画・文学・浮世絵・俳諧などで愛らしい姿が描かれ人気者になったのです。
3‐4.【現代】家族の「一員」になる
現代では、ご存じの通り猫は世界的・国民的ペットとして愛されています。
猫のマイペースで気分屋の性格や、かわいいルックス、動作ひとつをとっても人を癒す効果があるともいわれているほど。そのため猫は現代においても、人間にとってたくさんの愛をくれる存在となっているのです。
人間と猫の歴史を振り返ってみると、猫は最初は害獣駆除のために飼育されていましたが、次第に愛玩動物(ペット)として、人間に愛されてきたことがわかります。
猫は、これからも私たちの生活に欠かせない存在であり続けることでしょう。
4.まとめ
猫と人間の歴史は多様で複雑でありながらも、約9500年にわたり続いてきました。
ネズミ捕りや神聖な存在、そして家庭で愛されるペットへと変遷してきたその歴史を振り返りながら、今日でも続く不思議な絆に驚嘆せざるをえません。
猫と人間、共に歩んできた歴史の中で培われた絆が、今もなお私たちに喜びや癒しをもたらしています。