Yahoo!ニュース

ノート(74) 内側から見た拘置所の年末年始と冬模様

前田恒彦元特捜部主任検事
(ペイレスイメージズ/アフロ)

~達観編(24)

勾留27日目(続)

拘置所のクリスマス

 拘置所も、12月24日の夕食は特別メニューだ。例えば、骨付きフライドチキンにスパゲッティナポリタン、クリスマスツリーをイメージしてカットやデコレーションされたキュウリのスライス、コーンスープ。

 彩り鮮やかで、これにチョコチップスライスがたっぷりとかけられたチョコレートのショートケーキがつく。パンではなく、健康的な米麦飯とセットになっているところが独特だ。

 クリスマス前の平日には、拘置所で刑に服している受刑者を対象として、任意参加のクリスマス会が開催される。外部の宗教家を講師に招き、純粋な宗教行事の色彩が強いものだ。

 普段は平日1日1通しか出せない手紙やはがきも、クリスマスカードに限っては、トータルで10通までといった特別な発信枠が認められている。家族や友人、知人ら外部の者との接点こそが、社会復帰や更生に向けた最大の心の支えとなるからだ。

 なお、拘置所のバレンタインデーは2月14日ではなく、祝日である2月11日、すなわち「建国記念の日」となっており、昼食時にハート型のチョコレート菓子が支給されている。日本独自の習慣で歴史も浅いからか、さすがに3月のホワイトデーには何もない。

 このほか、節分には小袋入りの節分豆が、彼岸の中日に当たる春分の日には「ぼたもち」が支給されている。社会から隔絶され、ともすれば単調になりがちな日々を送る中、少しでも季節感を出すため、限られた予算内で様々な工夫が凝らされている。

年末年始の態勢

 中でも、年末年始は特別だ。拘置所も“お役所”だから、12月28日が御用納め、1月4日が御用始めとなる。12月29日から1月3日までの閉庁の間は、刑務官も当番制となり、休みをとる者と担当外の部署で勤務する者が交代で出勤する。

この記事は有料です。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバーをお申し込みください。

元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバー 2017年12月

税込1,100(記事3本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

前田恒彦の最近の記事