もちもちしっとり、カステラとこし餡を求肥で巻いた「あかまき」天草に伝わる郷土菓子はロールケーキ
郷土の御菓子というものは、その土地の時代背景が色濃く溶け込んだものが多く、その由来に驚くこともしばしば。
古より南蛮文化が根付いている地、熊本県天草市。悲運を辿った逸話も数多く残されていますが、およそ400年以上もの間受け継がれている甘い歴史が残っているのも事実。そう、南蛮菓子といわれるカステラなどのお菓子文化です。その南蛮菓子に日本の魂のひとつといっても過言ではない、あんこを巻き込んだロールケーキのようなお菓子は今もなお全国にファンの多い和菓子。今回ご紹介するのは、縁起が良く慶事にも用いられることのあるという赤い求肥でロールケーキを巻いた、イソップ製菓さんの「あかまき」をご紹介。
パッと目を引く鮮やかな緋色。色だけで元気が湧いてきそうですね。こちらのお菓子のみならず、イソップ製菓さんの手巻きの御菓子に使用されている小麦粉は、全て熊本県産シロガネという品種。なんでも、グルテン質が柔らかく機械での扱いが非常に難しいため、人の手で都度微調整を繰り返しながら作業をしなくてはならないという技術が求められる小麦粉なのだとか。小豆も北海道産、そして求肥に使用されている糯米も熊本県を中心とする九州産。
あら?想像以上にあっさりとして食べやすい…見た目とのギャップがありすぎて、これはもしかしたら食わず嫌いな方もいらっしゃるかも。
一般的にこういった常温のあんこを使用した洋菓子の要素を取り入れたお菓子は保存性を考慮し糖度を高めに設定しているお菓子も多く、購入した時点で賞味期限が2週間以上と比較的長めでしたが、全くくどいお砂糖味は感じられず。こうしたタイプのお菓子に使用するのはなかなかない言葉ですが、「甘さ控えめ」と申し上げてもよいのでは。
おそらくこれは、求肥と中のロールケーキの食感のバランスがとれているというのもあるかもしれません。勿論どちらも優しい慎ましやかなお砂糖味にとどめられているのですが、赤い求肥餅のとろりとしていながらも強かな粘り気のおかげでお餅ならではのふくよかさが伝わり、小麦製品であるロールケーキとの絶妙な橋渡し役に。ポイントとしてこしあんの素朴な甘味が顔を出すのも忘れずに。
また、非常にエアリーなスポンジケーキではあるものの、さほど水分量は感じられず、ふんわりとしたままほろほろとほどけて、こし餡とお餅に巻き込まれていく食感もサプライズ。
カロリーを気にして半分はまたあとで、と思っていたのに、ついつい食べきってしまいました。
漁師さんの船上食だったという天草の郷土の味で、もうひと頑張りしたい時のおやつや、トレーニング前後に食べてパワーチャージするのもありですね!