心理学者が教える安倍元総理の銃撃やウクライナ侵攻などの衝撃的な映像から自分を守る方法
安倍元総理大臣が銃弾に倒れました。予測もしていなかった出来事であり、また民主主義の根幹を揺るがす大事件となっています。また、ロシアによるウクライナ侵攻では、爆撃によって街が破壊される映像や人々が悲しむ映像が連日のように流されています。
一方で、ニュースの冒頭でも、衝撃的な映像が流されることを予告することが当たり前のようになりました。「この後、銃撃されるシーンが流されますので、気分が優れない人は視聴を控えてください」とアナウンスされるようになりました。
今回の記事では、こうした衝撃的なニュース映像による心理的影響と、影響を受けやすい人、最後に、自分の守り方についてこの記事ではお伝えしたいと思います。
私は、普段大学で研究や心理カウンセラーとして、あなたの毎日に役立つこころの健康についてお伝えしています。インスタはこちらです。(外部リンク)
衝撃的な映像による心理的影響
心理学では、衝撃的な出来事によるこころの傷つきのことを「トラウマ」といい、その心理的影響のことを「トラウマ反応」といいます。
東日本大震災との時に津波の映像が連日繰り返し流されました。その時に起きたことは、「ニュースを見たくない」「気分が悪くなる」「テレビをつけることができないようになった」という反応でした。
これは、映像がストレスになっているからです。その映像を見ることによって、その時の体験(トラウマ体験)が呼び起こされているからです。これを「フラッシュバック」といいます。
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人は、視覚から入ってくる映像(イメージ)が刺激となって、その時体験したことを思い出します。特に、その体験が「感情的につらかったとき」には、同じような感情体験を繰り返すことになります。これが人を苦しめるのです。これを心理学では「トラウマ反応」と呼んでいます。
また、人が亡くなることによって、気持ちが沈み込んだり、重たい気分になります。この感覚を心理学では「悲嘆反応」といいます。
悲嘆反応では、ショック・無感覚・麻痺といった、起こったことが現実でないように感じる、ぼうぜんとなる、感覚が麻痺したようになります。また、しばらく事実を認めたくない、受け入れられない状態になります。
このような状況の中で、自分自身は何もできないという絶望感・無力感を感じることもあります。とくに政治家にとってはこのような状況に陥ることは容易に想像できます。
影響を受けやすい人
衝撃的映像を見ても、何も感じない人もいれば、とてもしんどく感じてしまう人がいます。それは、これまでにつらい体験をしたことがあるかによって変化するためです。
東日本大震災による津波のトラウマの影響を調べた研究によると、比較的これまで健康的に生活していた人に対しては影響は少なく、むしろ、震災前に精神的にしんどかった人や、精神疾患をもたれていた人に対してより強い影響があったと報告されています。
銃撃されることや爆撃されることに対する現実的な体験をしたことは少ないと思いますが、「人が残忍なかたちで近親者が亡くなった体験」を持つ人や「倫理観や正義感が一般的な人より強い人」にとっては、強い心理的なストレスになるのです。
また、繰り返し映像を見ることによってイメージとしてすり込まれ、それがストレスとなることも知られています。
衝撃的映像から身を守る方法
衝撃的な映像を見て、自分が何を感じるのか、どのような経験を思い出すのか、冷静に観察してください。その影響が大きいと感じるときには、その映像を見ることから距離を置きましょう。
そして、身体を動かす散歩や趣味をすることで気分転換をすることで、そのイメージから離れましょう。
人が亡くなることで気持ちが落ち込んだり、絶望感や無力感を感じることは、ごく普通の反応なのです。また、この感覚は、1ヶ月ぐらいするといずれ弱まっていくとされています。
距離を取りながら、時間をおきましょう。ただし、1ヶ月を過ぎてもその気持ちから抜け出せないときには「複雑性悲嘆」と呼ばれる状態の可能性があるので、専門家に適切なサポートを受けるようにしてください。
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