心理学者が教える「不安の正体とそのつきあいかた」
みなさんこんにちは。公認心理師の赤田です。
いつも私の記事をご覧いただきありがとうございます。
この記事では、心理学者である私が、「不安の正体」をお伝えしたいと思います。そして、最後に不安のつきあい方についてお伝えしたいと思います。
普段は大学で臨床活動や研究などさせていただいてます。心の健康に役立つ知識をお届けしますので、ぜひフォローをよろしくお願いします。インスタも遊びにきてください!(外部リンク)
不安とは
不安とはいったい何なのでしょうか?不安とは、全ての人がたびたび体験する普通の感覚です。不安自体を感じることは何の異常もありません。むしろ、自身の安全が脅かされると感じられる「アラーム」の役割があるので、とても大切な役割を果たしています。
不安の感覚って
不安がどんなものか説明することは、大変難しいですが、漠然とした感覚とか、「憂慮」と呼ばれるものです。また、身体の感覚として頭痛・発汗・動悸・胸部圧迫感・腹部の不快感を感じることもあります。不安とは気持ちだけの問題ではなくて、身体にも表れるという特徴があります。
不安と恐怖の違いって?
この二つの感覚に違いはありません。不安と恐怖は同じものだと考えてもらって大丈夫です。ただ、なぜ呼び名がことなっているかというと、対象が明確なものを「恐怖」といいます。対象が不明瞭なものを「不安」といいます。
対象が明確なもの…「恐怖」
対象が不明瞭なもの…「不安」
この違いは大きいです。恐怖は、最低限そのことを避けることで回避することができますが、不安は回避できません。そういう意味では、心理的負担としては明確でない方が大きいかもしれません。その結果、「予期不安」という、不安になるかもしれないという不安に悩まされることもあります。
不安の良いところ
不安の良いところと言われて、びっくりしたかもしれません。強度の低い不安感情というのは、実は有益です。なぜかというと、集中力や注意力が高まるからです。適度な不安は、業務の効率や集中力を上げます。宿題も、期限にまで追い込まれると集中してできるようになりますよね。
これが普段から発揮できたらいいのに、と私も思いますが、それはできないことなのです。だって、追い込まれる必要があるからです。
このように、不安に感じることによって、その原因となっている問題を集中して解決できるわけです。
不安の悪いところ
強度が高まるにつれて
↓
【強い不安】状況の判断力が歪む
広い視野から物事を見ることができなくなる
↓
【極度の不安】集中ができなくなる・強烈な不快感
↓
パニック発作・強迫症状へ
この流れは、さらに加速します。
不安を減らそうと努力しようとすればするほど、不安が高くなるのです。悲しい現実です。
不安解消に取り組むことに忙しくなってしまい、自分の人生のゴールを目指すことができなくなってしまうのです。
不安神経症はそのような精神疾患です。
強迫症状とは
不安をなくそうと努力する行動が、強迫行動になることがあります。強迫行動とは、自分の意志に関係なく、ある考えや衝動にとらわれたり、ある行動を繰り返す症状です。
思考の例:鍵を閉め忘れたかもしれない
衝動の例:車道に飛び出してしまいそう、橋から飛び降りてしまいそう
行動の例:手を洗いつづける
強迫神経症とは
社会生活を脅かすほど悪化すると、強迫神経症と呼ばれます。状況の把握に困っている行動(「確認行動」)も含まれます。
この儀式を行わなければ不安から逃れられないと思っています。
一方で、この行動は「意味がない」と分かっている人が多いのも事実です。不安からの逃れられにくさが分かると思います。
不安による精神症状(中野,1997)
- 心配している
- イライラしている
- 緊張している
- くよくよしている
- 気が休まらない
- 気が転倒している
- 何か気がかりだ
- 自信がない
- 落ち着かない
- 興奮して身体が震える
- 焦りを感じる
- ためらうようになった
不安による身体症状(中野,1997)
- 下痢をよくする
- 鼻水がよく出る
- 筋肉が緊張している
- 高血圧だといわれた
- 動悸がする
- じっとしていられない
- 失神したことがある
- 脈が速い
- 足にぴりぴり感がある
- 震えが止まらないことがある
- 胃の具合が悪い
不安によって、こんなにさまざまな形でこころと身体に症状が現れることを知っておいてください。これだけのことが起きても、あなたは身体的に何の異常もありません。ただ、心は今漠然と危機を感じているということです。
心理カウンセリングは、何に対して危機を感じているのか探るためにとても有効なアプローチになります。
不安とのつきあい方
不安を知ることによって、不安と共存することができるようになります。不安はなくすのもではありません。不安と適切な距離を取りながら、不安とともに未来の目標に向かって進んでいくのが人生なのです。
いずれ不安はおさまる台風のようなものです。
不安の嵐がやってきても、しばらく身を任せてください。パニック発作で死ぬ人はいません。台風が通り過ぎると、また普段のあなたがそこにいます。不安を楽しむまではできませんが、この感覚を味わうことことが、自分に対する「いま自分が抱えている課題」を示してくれています。
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