気がつかないと危険!身体をむしばむストレスとは?心理学者が語るストレスの正体が謎すぎる
こんにちは。赤田太郎の仕事に役立つ心理学です。
私は、普段大学で研究や心理カウンセラーとして、あなたの毎日に役立つこころの健康についてお伝えしています。インスタも遊びにきてください!(外部リンク)
今回は、身体をむしばむストレスの正体についてお話したいと思います。
皆さん、ストレスという言葉はよく使われると思うのですが、便利なゆえに逆に「何を指してるの?」って思いませんか?
ここでは、ストレスの正体を明らかにするとともに、ストレスの危険性とその回避方法についてお話ししたいと思います。
ストレスの正体
まず「ストレス」という言葉についてです。
皆さんの馴染みのある言葉だと思います。いろんな人がストレスという言葉を使っていて、本当に普及している言葉と思います。
このストレスという言葉は非常に便利で、しんどかったら「今、ストレスがたまってて」や「ストレスがやばい!」、「ストレスでしかない」などとても簡単に使えるのですが、実はストレスを目で確認できた人は、誰もいないのです。心理学の研究者である私も、見たことがありません。
心理学はほんとうに不思議な学問ですね。
学術的に決められた定義もありません。そのため、研究者がそれぞれの立場でストレスを説明しています。ただ、研究者の間でも一般的に「ストレス」という言葉を使う時には、2つのことを指していると考えられています。
ストレスに2つの意味があることはご存じでしたか?
おそらくこれまで2つの意味で使い分けている人はいないと思います。ただ、みなさんは自然に使い分けているのです。
ストレスの原因
ストレスは大きく2つに分けられると言われています。それは、「ストレスの原因(ストレッサー)」と「ストレス反応」の2つになります。私たちは、両方とも「ストレス」と呼んでいます。
まず、「ストレッサー」ですが、ストレスになる原因のことです。ストレスになる前の原因についても、私たちはストレスと呼んでいます。ややこしいですね。
具体的には、個人にとって負担になる出来事や要請、生活環境などを指しています。
出来事のストレッサー
日常のありとあらゆるわずらわしいことを指しています。専門的には「日常のいらだちごと」と呼ばれます。また、友だちとケンカしたり、親や上司の怒られた、そのような対人関係上の出来事もあります。さらに災害や交通事故などもストレスになります。あまりに衝撃的な出来事をトラウマティックストレスと呼んだりします。
要請のストレッサー
要請とは「だれかからお願いされたこと」です。良い成績と取らないといけないという親からのプレッシャーや、業務における上司の命令、先生が出す宿題なども該当します。
環境のストレッサー
環境とは、音がうるさい、暑いや寒い、狭いや広すぎる、人が多すぎるなど、たとえば通勤電車で満員など、ストレスですよね。
このような、あらゆるものがストレッサーになります。
他にも、さまざまなストレスの分類法があるのですが、また追ってお話ししますのでフォローをよろしくお願いします。
ストレスの結果
その次は、ストレスの結果を指している「ストレス反応」です。
これは、ストレスになる出来事に遭遇したときに、身体が反応してそのわずらわしさを解消しようとします。心理学ではこのことを「ストレス対処」といいます。
ストレスの原因(ストレッサー)を乗り越えるために、身体がいろいろ工夫するんですね。その身体のさまざまな部分が反応することを「ストレス反応」と言います。
この反応は大きく3つに分けられています。
気分のストレス反応
その一つが気分です。
憂うつだったりとかイライラしたり、焦燥感があったりとかね、気分が落ち込んだり。こういうものを気分のストレス反応と呼びます。
身体的なストレス反応
次は身体的な反応です。
頭が痛いとか、肩がこるとか、腰が痛いとか、頭痛がするとか、お腹が痛いとか、寝れないなど、挙げればきりが無いほどあります。こういうものは身体的な反応になります。
行動的なストレス反応
最後に行動的な反応です。
例えば、遅刻をするとか、あと欠勤すると、なかなか集中力が持たないとか、そういう行動面の変化のことを指しています。
ストレスがかかると気分の面・身体の面・行動の面というところでその変化が表れるんですね。
これらの無数の数多くの反応の原因が、ストレスということに気づいていましたか?
ストレスという言葉を聞いた時に、ストレッサーとストレス反応の両方のことを指していて、それが「原因」と「結果」という因果関係になっていることを思い出していただければと思います。
それでは次に、ストレスがあなたの身体に与える影響についてお話ししていきましょう。
知らないうちに身体をむしばむストレスの本当の恐ろしさ
ストレスの話はこれで終わりません。ここからが本当に怖いところです。
この状態が長く続く、要するにずーっとストレスがかけられた状態になって、それがずっと続くと、何が起こると思いますか?
病気になってしまうのです。
ストレスが原因となる病気なので「ストレス関連疾患(ストレス病)」と呼ばれています。
また、病気に至る前の状態を「メンタルヘルス不調」といいます。先ほどのストレス反応がある状態のこと指しますので、ぜひこの言葉も覚えておいていただけたらと思います。「病気の予備軍」という位置づけです。
ストレス反応があまりにも長続きすると、いよいよストレス関連性疾患(ストレス病)という状況になります。
「主なストレス関連疾患」Gregson & Looker(1996)に筆者が追加
このようにストレス関連疾患は、皆さんが知っている病名が並んでおり、その数も驚くほどたくさん挙げられています。注目したいところは、日本人の死因の1/3を占めているガンもストレスが原因になっているということです。
なるべくストレスに対処して、解消できればいいんですが、それが解消できず慢性的に続くとストレス関連疾患という病気になります。
ストレスになるような出来事があっても、それを克服したり、解消したりすることによってストレス反応は弱まるわけです。ストレッサーがなくなれば、もちろんストレス反応もなくなります。
それでは最後に、病気にならないために注意することについてお話ししたいと思います。
ストレスで病気にならないために
ストレスの正体についてお話してきましたが、ストレスの正体というのは、実は目に見えないものなのです。
目に見えないのでそのまま気づかない状態でストレスがたまっていくと、「メンタルヘルス不調」という状態や、「ストレス関連疾患」という病気になって目に見えるものになります。
病気の形になって分かる段階では、手遅れです。
ですので、なるべく「いつもと調子が違うな」、「おかしいな」と思ったときに、「ストレスがたまっているかもしれないかも!」と気づくことが大切になります。目に見えないストレスを把握するためには、「自分のこころ、身体、行動の変化に敏感になること」です。
これが自分を守ることになります。このことを、セルフモニタリングと言います。そうすることで病気にならずに、元気に過ごせるようになると思います。
また、自分の周りにいつもと調子がちがう人がいたら、「最近、しんどそうだけど、何か手伝おうか?」と声をかけてあげてください。
ただ、「大丈夫?」とは聞かないでくださいね。大丈夫ではなくても「大丈夫」と答える人が多いですので。
ぜひ日常生活でも活用してくださいね。
詳しい健康障害のメカニズムについては、「ストレス・マネジメント検定試験」という検定対策動画の中で関西弁でお話ししています(YouTubeへ)ので、ぜひご覧くださいね。
さいごに
このように、日常生活や仕事上で役立つ心理学の知識や解決方法について、情報をお届けしています。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回お会いしましょう!