無給油1000km走行し、今できる自動運転まで全部入ったセレナe-Powerの衝撃
2017年5月に30年ぶりに国内月販で首位に躍り出た日産ノート、さらにノートはそこから11か月累計販売台数10万台を突破しました。そのノートの大躍進を実現したのが「e-Power」というパワートレインです。
この「e-Power」は、電気自動車リーフで培ってきた電気自動車の技術に電気をガソリン発電供給するという、いわばいいとこどりの現状の電気自動車の最適解です。つまり、ガソリンは使いますが、車を動かしている駆動はモーターそのものなので、制御も含めて、車の挙動は完全に電気自動車そのものなのです。
そのいいとこどりのパワートレインをなにもノートだけに限定させておく必要はどこにもありません。じゃあ、ノートの次はどの車種に載せてくるんだろう?という疑問に対する答えが、今回のセレナe-Power(の発表会)なのです。
セレナは、ガチファミリー向けのミニバンです。家族構成次第ではありますが、その気になれば3世代まとめて乗れるサイズの車です。今回のセレナe-Powerは、7人まで乗れます。最後部のシートを折りたたみできる小さいものにして、その空いたスペースに車椅子をそのまま搭載可能なモデルも展示されていましたが、その車椅子仕様でさえ、普通のシートで6人乗れてしまうサイズなのです。そのため、もちろんノートのe-Powerと比較すると、モーターの最高出力もバッテリーも強化されています。
そして、今回のセレナe-Power。ガソリンで発電+完全モーター駆動になった結果、メーカー値として26.2km/Lという燃費をこの大きなボディサイズの車で実現しています。これはこれまでのセレナのハイブリッドと比較しても10km/L弱向上しています。仮に実走値を20km/L程度としても、セレナe-Powerはガソリンタンクは55Lですから、ざっくり無給油で1000km走れてしまうのです。
1000kmということは、500km先の目的地が無給油で往復可能になります。仮に日本橋をスタートしたとすると、京都、大阪、神戸どこらか姫路を超えて、赤穂まで行って帰ってこれてしまうのです。赤穂浪士も真っ青ですよ。
そして、ただ長く走れるだけではなく、ここに高速道路同一車線自動運転技術「プロパイロット」も加わります。
これは長い距離を運転するドライバーをサポートする安全のための技術です。発表会冒頭に星野専務からは「すでにセレナの新規出荷の約半分がプロパイロット搭載である」という話があったほど、このプロパイロットは実績のある技術です。
このプロパイロットにe-Powerが組み合わされたことで、今回のセレナは現在の自動車技術でできることを、家族全体のサポートに振り切って作られた車といっても過言ではないのです。
そして、セレナe-Powerの発表会の後半は、まさにその家族をテーマにした内容。ゲストにW藤本ということで、藤本敏史さん、藤本美貴さんがパパ・ママの代表として登場しました。
お2人とも小さいお子さんがいるご家庭で、休日などに箱根や伊豆のような行楽地へ行くことも多いそうです。またミキティからは「子供が小さいから、とにかくだだーっと広いところに行きたい」という話などがされました。当然、帰りは家族は全員疲れている中、時には渋滞に巻き込まれながら、家に帰ってくることになります。そこがプロパイロットの登場シーンになるわけです。
また、すでにセレナe-Powerを体験したお2人からは、その走り出しが「まるで魔法のじゅうたんのようだ」という言葉も飛び出しました。
この走り出しとワンペダルで車を操作するeペダル、これもe-Powerによって、電気自動車として生まれ変わったことによる恩恵です。そして、ガソリンエンジンを発電に使う電気自動車ということで、ついに車にもマナーモードという言葉が出てくるようになりました。
それはどういうことかというと、例えば幹線道路と住宅地では、騒音に対する意識がまったく違います。ですから、マナーモードをオンにすると、できるだけ可能な限りバッテリーで走行して、発電のためにエンジンに動くことをできるだけ控えさせるのです。エンジンが動いていなければ、当然車から発生する騒音は減るということです。e-Powerは、そんなマナーのことまで実現できてしまうのです。
もし、街中で、青いエンブレムのセレナを今後見かけることがあったら、そのセレナはただのセレナではなく、セレナe-Powerです。それはセレナのただのマイナーアップデートの車ではありません。e-Power・プロパイロット・eペダルというまさに最先端の技術を惜しげもなく家族ためのパッケージとしてまとめあげたミニバンなのです。
ヨーロッパなどを中心に電気自動車の推進の声がどんどん大きくなってきていますが、このe-Powerは、今後他の車種にも展開されていくはずです。つまり、電気自動車は将来実現すべきことではなく、もう普通の道路を走っている現実となってきているのです。