舞台『未来少年コナン』影山優佳がラナに選ばれた理由はそこにラナがいるからである #未来少年コナン舞台
舞台『未来少年コナン』とはなにか?
あのアニメの名作「未来少年コナン」を舞台化、しかもそれを手がけるのがインバル・ピントということで、2023年末に発表され、話題となった舞台『未来少年コナン』を観劇してきました。
見終わって、しばらく呆然として、頭の中が整理できず、やっと記事を書いている次第です。インバル・ピントの舞台を乱暴を承知で表現すると、シルク・ドゥ・ソレイユのサーカスがそれまでのサーカスとまったく違ったように、インバル・ピントの舞台はそれまでの舞台と違っているという言い方はできると思います。
なにしろ、舞台美術・ワイヤーアクション・プロジェクションマッピングまで使ってくるのです。しかし、それ以上に重要な役割を果たしているのが、ダンサーのみなさんの存在です。
そもそも、舞台『未来少年コナン』の出演者はキャストとダンサーという2つのチームに分けられています。で、このダンサーが私たちが一般的に思うダンサー以上の存在として舞台上で活躍しまくるのです。
この舞台に登場しているダンサーのみなさんは、舞台に登場する要素をほぼすべて担っている存在です。意味がわかりませんよね。私も実際の舞台を見たからこんなことが書けるわけで、事前に説明されても意味がわからなかったと思います。
全部というのは、出演者であり、ダンサーであり、舞台装置でもあるということなのです。ダンサーなので、もちろんみなさん踊ります。でも、それは歌い手を際立たせるためのバックダンサーではなく、未来少年コナンという終末観のある世界を表現するために、舞台上のキャストの1人としてだけでなく、舞台上の装置の一部としても踊り続けるのです。
ただ、そのおかげで、前衛的で抽象度の高い舞台が実現できているということでもあるわけです。だって、未来少年コナンといえば、全26話という長い物語です。素直に物語をなぞるような形で舞台化なんかできるわけがないわけです。でも、この手法であれば、未来少年コナンという物語を別の形で表現できるということなんです。
このシーンが何のシーンであるかの細かい説明はネタバレになってしまうのでしませんが、ダンサーとその衣装と動きが状況を説明し見ている人の想像力を喚起するというこの舞台の特性を象徴する砂漠のシーンです。
舞台を見終わってから、ダイジェスト映像を見ると、なるほどこのシーンはダイジェスト映像に選ばれるシーンだ!と納得できるシーンです。
なお、このシーンは「舞台『未来少年コナン』稽古場映像」でも取り上げられています。
正直、この稽古場の感じから実際の舞台を想像することはほぼ不可能で、主演の2人が呆然としている場面も登場しています。舞台をすでに見ていると、この呆然とする表情の意味もわかるというものです。
そこにラナがいるとはどういうことか!?
さて、実際の観劇ではどうだったのか?という話をしたいのですが、やはりこの砂漠のシーンは舞台全体の中でも見せ場となっているシーンでした。
そして、このシーンは、はっきりと影山優佳さんがラナにしか見えないシーンでもありました。ここ、わかりにくいので、少し細かく説明します。
舞台『未来少年コナン』は、なにしろ原作がアニメですから、どうしても元のキャラクターと目の前で舞台に立っているキャストを比較してしまいます。でも、このシーンの影山さんはそういうことは頭からすっかり抜け落ちて、まさにそこに影山さんではなくラナという存在がいるシーンとなっていました。
そして、すっと腑に落ちたのです。影山さんをラナに選んだ人には、このシーンが見えていたのだなと。
これは、初日の舞台を見た志田未来さんが「かげちゃんのすべてがラナだった」というコメントをインスタで残していることからもわかってもらえるかと思います。私自身、そのコメントを見て、そんなことある?と思って、後日舞台を見て、まさにその通りだったので、ひっくり返って、今この記事を書いているというわけです。ちなみに横槍メンゴ先生も同様のコメントを残しています。
そして、ここまで理解すると、舞台のほぼ冒頭で、ラナが登場した際、あえてそこでは、まだ影山さんはラナを印象づけるツインテールではなく、ラナが目を覚ましたあとに、影山さん自身が舞台上で自らツインテールにするという演出が入っていることにもしっくりくるのです。
そう、あの演出は、ここからラナとして影山さんが動いていくのですよという合図だったと思うのです。
舞台のSNS対応
舞台『未来少年コナン』は決してわかりやすい舞台ではありません。途中に休憩は入りますが、全体で3時間近い舞台でもあります。でも、ちゃんと冒頭、この舞台がどういう舞台なのか?ということを教えてくれるシーンはしっかりと入っています。
そして、そこを頭で理解しようとせず、よくわからなくてもいいので、これから見る舞台は、こういう舞台なんだと受け入れてしまえば、そこから先の3時間は、まさにあっという間にいつもとまったく違う世界に連れ去ってくれます。
ということで、この舞台を実におすすめしたいのですが、要するにまだチケットがあるようです。
これはいけません。こんな舞台に空席などあってはいけないのです。
さらに!
もろもろでStaffアカウントだったはずが、ご本人も登場している公式アカウントで影ちゃんもお願いしているので、少しでも気になった人は、ぜひ劇場へ行きましょう。
わかりやすい舞台とはけっして言えませんが、ここでしか味わえない舞台となっていることはまちがいないです(大事なことなので繰り返しました)。
※YouTubeのスクショは「ホリプロステージ Horipro Stage」のものを使用しております