やはり、iPhoneは金を稼ぐ力が業界断トツ
米アップルと言えば、時価総額世界トップの企業。主力製品である「iPhone」は、その利益率が高く、利益シェアは業界断トツであることは、知られている。
そうした中、アップルの強みを示す新たなデータが、米国の市場調査会社ストラテジー・アナリティクスによって明らかになった。
販売台数は減少も売上高は増大
それによると、昨年(2017年)10〜12月期における、iPhoneの売上高シェアは、業界全体の51%を占め、1年前の48.5%から拡大した。
この四半期のiPhoneの販売台数は、1年前から1.2%減少している。10〜12月期の販売台数が前年実績を下回ったのは、これが初めてのことだ。
しかし、価格が999ドルからと、高額になった「iPhone X」によって、シリーズ全体の平均販売価格が引き上げられた。その金額は796ドルと、1年前の695ドルから15%上昇し、過去最高になった(図1)。
- 図1 iPhoneの平均販売価格・販売台数・売上高推移(インフォグラフィックス出典:ドイツ・スタティスタ)
このことが、売上高の増加と、シェアの拡大につながったと、ストラテジー・アナリティクスは指摘している。
サムスンの3倍、ファーウェイの7倍
ストラテジー・アナリティクスの推計によると、昨年10〜12月期におけるiPhoneの売上高(卸売価格ベース、以下同じ)は、614億ドル(約6兆5200億円)。
一方、スマートフォン業界全体の売上高は1202億ドル(約12兆7700億円)だった。
つまり、iPhoneの売上高は、業界全体の51%を占め、韓国サムスン電子や中国ファーウェイ(華為技術)をはじめとする大手スマートフォンメーカーを含む、世界に無数にあるメーカーの合計を上回った(図2)。
- 図2 スマートフォンメーカーのシェア(左図が売上高ベース、右図が出荷台数ベース)インフォグラフィックス出典:ドイツ・スタティスタ
ここで、他社のデータを見ると、例えば、サムスンの10〜12月期におけるスマートフォン売上高は、189億ドル。ファーウェイは84億ドルだった。
iPhoneは、この期間、サムスンの3倍以上、ファーウェイの7倍以上の金額を稼いだというわけだ。
平均販売価格でも他社を大きく上回る
もう1つの興味深いデータは平均販売価格だ。前述したとおり、iPhoneシリーズの10〜12月期における平均販売価格は、796ドル。
これに対し、サムスンは254ドル。ファーウェイは205ドル。スタティスタによると、これら以外のメーカーの平均販売価格は、さらに低い152ドルになる。
販売価格が、大きく上昇したにもかかわらず、iPhoneは10〜12月期に、世界市場で7731万6000台を売り上げた。
一方で、この期間における出荷台数ベースのiPhoneのシェアは2割弱。これが金額ベースになると、いきなり5割を超えてしまう点が、アップルの強みと言ってよいだろう。
「iPhoneは、信じられないほどの金を生み出すマシーンだ」と、ストラテジー・アナリティクスはこのレポートで結論付けている。
(このコラムは「JBpress」2018年2月21日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)