Yahoo!ニュース

「トランプ再選」は「悪夢」 トランプ前大統領が韓国に駐韓米軍撤収をカードに米軍駐留費の増額を要求

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
トランプ前大統領と金正恩総書記(朝鮮中央通信から)

 米国の同盟国の中にはトランプ前大統領のカムバックを歓迎しない国が結構あるようだが、韓国もその国の一つであろう。保守、進歩政権問わず、与党であれ、野党であれトランプ前大統領の復活を望んでいない。

 主な理由は4つある。

第一に、トランプ前大統領が韓国と敵対している北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記と仲が良いことだ。

 トランプ前大統領が共和党大統領候補選挙期間中に「私は金正恩が好きだ。彼も私のことを好いている。我々は気が合っている」と再三、口にしていることは周知の事実である。実際に、トランプ前大統領は昨年6月に北朝鮮が世界保健機構(WHO)の執行理事国に選出された際には金総書記に直々祝電を送っていたほどである。

 トランプ氏が大統領職に戻れば、米朝首脳会談が再開されることになるであろう。そのことについては駐日米国大使を務めたハガティ上院議員(共和党)が2月に「トランプ前大統領が当選すれば金正恩と会談に臨む可能性がある」と、明かしていた。

第二に、トランプ政権になれば、北朝鮮の核を容認する恐れがあることだ。

 トランプ氏は昨年9月、サウスダコタ州での共和党募金行事でのスピーチで「再選されれば、北朝鮮と合意してみせる」と発言していた。トランプ氏が北朝鮮に前のめりになっていることから韓国では北朝鮮の核保有を黙認し、核とICBM開発の凍結を条件に制裁緩和など北朝鮮の要求を受け入れるのではと警戒する声が日々高まっている。

第三に、米韓貿易摩擦が再燃する恐れがあることだ。

 「米国第1主義」のトランプ氏は経済優先である。大統領時代には韓国との貿易赤字を問題にし、韓国との自由貿易協定(FTA)を改定し、韓国の輸入品に高い関税を掛けていた。トランプ氏は実際に、再選されれば、韓国を含むすべての輸入品に10%以上の関税を掛けることを半ば公約に掲げている。

最後に、駐韓米軍の撤収をちらつかせ、米軍駐留費の大幅増額を要求する可能性が高いことだ。

 トランプ氏は大統領時代に米国が提供する軍事保護とサービスに対して50億ドをを出すよう吹っ掛けていた。具体的には韓国の駐留米軍分担金を1年契約として初年度に13億ドルとし、翌年以降も毎年引き上げることを要求していた。

 どれもこれも韓国にとっては「悪夢」であるが、これが「正夢」になるかもしれないことを昨日(30日)発売された米時事週刊誌「タイム」が伝えていた。

 同誌によると、トランプ氏は「我々は危険な所に4万人(実際は28500人)の米軍を置いている。話にならない。韓国は豊かな国なのに何のため我々は他の国の人を防御しなければならないのか」と駐韓米軍の費用を大幅に増額しなければ、駐韓米軍を撤収させると示唆していた。

 北朝鮮の脅威への防波堤となっている米軍が仮に撤収すれば、韓国の安全が保たれないのは言うまでもない。「駐韓米軍」という後ろ盾を失えば、核を保有している北朝鮮に太刀打ちできないからである。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

「辺真一のマル秘レポート」

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌ではなかなか語ることのできない日本を取り巻く国際情勢、特に日中、日露、日韓、日朝関係を軸とするアジア情勢、さらには朝鮮半島の動向に関する知られざる情報を提供し、かつ日本の安全、平和の観点から論じます。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

辺真一の最近の記事