名古屋に「ららぽーと」が初進出。名古屋ベイエリア活性化の起爆剤となるか?
“イオンモール王国”に風穴を開ける東海初のららぽーと
「ららぽーと名古屋みなとアクルス」(名古屋市港区)が9月28日グランドオープンしました。三井不動産が展開するショッピングパーク「ららぽーと」としては国内14施設目、東海3県(愛知・岐阜・三重)では初出店となります。
愛知県はクルマ社会ということもあって全国一のイオンモール密集エリア。都道府県別で最大の14店舗が県内に、名古屋市内にはうち7店舗がひしめき合います。エリア初進出のららぽーとは、イオン慣れした名古屋人にとっては新鮮味があり、広範囲からの集客が期待できそう。単に買い物するだけでなく、時間消費できる要素が多いのも特徴。同じく東海地方初となる「蔦屋書店」が独立店舗として出店しているのはその象徴で、目的来店を促しそうです。
最先端スマートタウンの中核施設
ららぽーとのオープンは、単なる商業施設の開業という以上の期待を地元から寄せられています。ららぽーとが含まれるみなとアクルスは、東邦ガスの都市ガス製造工場の跡地。約33ha(ナゴヤドーム約6個分)の敷地に、マンションやスポーツ施設、エコステーションなどを集め、なおかつエリア内でエネルギーの一括供給を行い、災害にも対応する独立型のスマートタウン構築が計画されています。名古屋市から低炭素モデル地区事業第1号にも認定され、環境・防災・にぎわいの要素を兼ね備えた新たな街づくりのモデルと位置づけられているのです。
期待される名古屋のベイエリアへの波及効果
そしてもうひとつ、期待が大きいのが名古屋港エリア全体への波及効果です。ららぽーと名古屋みなとアクルスは、名前の通り名古屋市港区が所在地で、その中でも市街中心部に近い場所に位置します。港区は市域の南端のため、日ごろの生活圏からは外れる市民が多く、地元の人ほどやや心理的距離感を抱きがち。昨年、名古屋港金城ふ頭にオープンしたレゴランドが苦戦を強いられているのも、ここに要因の一端があると感じます。ららぽーと名古屋みなとアクルスは名古屋港水族館までは地下鉄で二区間、レゴランドまでは車で約15分。名古屋港エリアのいわば玄関口にあたるため、これら既存の施設への距離感を縮めてくれそう。「地域の活性化も重要な役割のひとつ。周辺施設との連携も今後積極的に図っていきたい」(三井不動産担当者)との意向もあり、ベイエリア全体の起爆剤という役割も担っていくことになります。
ここで効果を発揮するのが中川運河を航行するクルーズ名古屋です。名古屋駅南側に今春、街びらきした「ささしまライブ」を起点に、ららぽーとや名古屋港ガーデンふ頭(名古屋港水族館)、金城ふ頭(レゴランド、リニア鉄道館など)などをつなぐクルーズ名古屋は、まさしくベイエリアをひとつにする水上交通ルートです。
ららぽーとのついでにレゴランドへも…という過ごし方はあまり現実的ではありませんが、レゴランドで遊んだ帰りにららぽーとへ、という立ち寄り方は十分にあり。名古屋港水族館なら相互性はよりスムーズです。ららぽーと名古屋みなとアクルスのオープンは、ベイエリア全体の活性化、名古屋人のレジャー動向をも左右するインパクトをはらんでいると言っても過言ではありません。名古屋の人たちの関心をベイエリアに向けさせ、レジャー、ショッピングの動線を変えることができるか。半年後、1年後の成果に注目したいと思います。
(写真はすべて筆者撮影)