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大相撲七月場所は観客を入れて開催。生観戦できる喜びよりも先に考えるべきこと

飯塚さきスポーツライター/相撲ライター
(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

大相撲七月場所 生観戦のチャンス

今月19日から始まる七月場所(東京・両国国技館)は、1日に2500人程度の観客を入れて開催されることが発表された。これによって、チケット販売も、満を持して動き始めることになる。

新型コロナウイルスの影響により、当初から2週間延期されている七月場所。初日まで、あと5日。このタイトなスケジュールで、チケットの販売方法や、観戦時の注意事項を含んだ、細かいガイドラインが策定された。マス席は1マスに一人のみ、イス席は間引きされ、チケットぴあから販売される。詳しくは、下記協会ホームページのガイドラインを参照していただきたい。

大相撲七月場所 観戦案内

ガイドラインに基づく安全の確保が必須

本場所が開催されるのは4か月ぶり、生観戦できるのは1月以来で、約半年ぶりのこととなる。ただ、決して状況が1月の頃に戻ったわけではない。大人数の移動を避けるため、通常の名古屋から東京・国技館に会場を変更しているが、その東京都で感染者数が増えていることも忘れてはならない。コロナウイルスと共存していかねばならないいまの世の中で、健康と安全を第一に考えながらも、なんとか物事を前に進めるための努力が求められている。今回の相撲協会の判断は、その一歩を象徴するものであるといえるだろう。

しかし、生観戦できる喜びがある一方で、何よりも力士たち含む協会員や関係者が、無事で、安全に15日間を終えることを願っているファンも、少なくないのではないだろうか。真のファン心理は、自分が応援に行ける楽しみや喜びよりも、力士たちの安全と健康への懸念が先立つのだ。その部分がしっかりと確保されること、お客さんも安心して楽しめる環境づくりができていることをアピールするためにも、今回策定されたガイドラインを広く周知し、この内容を徹底するための準備を進めていただきたい。そう願うと同時に、おそらく協会は、いまその真っ只中で奮闘してくれているはずだと想像する。

誰もが手放しで「お相撲を見に行ける!」と喜べる日が、一刻も早く来ますように。

スポーツライター/相撲ライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライター・相撲ライターとして『相撲』(同社)、『Number Web』(文藝春秋)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書に『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』。

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