【横浜市】猛毒!だけど強くて美しい夏の花。横浜赤レンガ倉庫近くに咲く花の正体は...。
ビルが立ち並ぶ街中に季節を運び、炎天下ではありがたい木陰をつくってくれる、街路樹や植木。
筆者はお散歩していると、街路樹や植木が気になってチェックしてしまいます。
今回は、7月中旬に横浜市中区の観光地で見かけた、ある植物についてご紹介します。
大木の夾竹桃(きょうちくとう)
横浜赤レンガ倉庫と横浜税関を結ぶ「新港橋」。
橋のたもとに、この季節ひときわ目を引く鮮やかな花を咲かせる木があります。
夏の空に映えるピンク色の花をもつこの木は、「夾竹桃(きょうちくとう)」です。
遠目でも圧巻の花付き! とても立派な大木であることが分かります。
美しく、近づくと甘い香りのする魅惑の花木、実は猛毒をもっています…!
夾竹桃は、植物全体に心臓毒性を有するオレアンドリンが含まれており、人間や他の動物が少しの量でも摂食すれば中毒を引き起こす恐ろしい一面のある植物。場合によっては死に至ることもあるほどの猛毒なのだそう。
観光エリアに悠然と咲いているのに、猛毒注意とは驚きですよね。
しかしながら、必要以上に心配することはありません。
摂食したり、生木を燃やすことで発生する煙を吸ったり、折って樹液に触ったりしなければ、近づいても問題ないとのこと。花や幹に触っても中毒を起こすことはないのでご安心ください!
とにかく強くたくましい!
猛毒があるにも関わらず、なぜ街やお庭に植えられているのか?
美しさはもちろんのこと、極めてたくましい植物であるということが大きな理由のひとつです。
夾竹桃は、潮風・潮水に強い特性があること。
また、大気汚染の原因になる二酸化硫黄ガスを吸収する性質もあること。
海に近く河口にあたるこのエリアで元気に育っているのも納得です。
また、高速道路脇でもたまに見かけますが、そちらも理にかなっているのですね。
猛毒はさておき、むしろ現代人にとって十分恩恵を受けられる植物ではないでしょうか!
原爆からの復興の象徴として広島市花に
さらに夾竹桃を調べていくと、たくましさを象徴するエピソードがありました。
広島の原爆の焦土は75年間草木も生えないといわれていたそうですが、いち早く咲いたのが夾竹桃なのだそう。
当時復興に懸命の努力をしていた市民に希望と力を与えてくれた花として、昭和48年「広島市の花」として選ばれました。
夾竹桃の開花時期は6月〜9月。
8月6日の平和記念日に花が見られるのも感慨深いことかもしれません。
猛毒、そしてたくましさの奥に希望を見出させてくれた夾竹桃。
色んな面を併せ持つ夾竹桃にすっかり魅せられてしまいました。