復帰戦勝利のロマゴンはバンタム級での5階級に意欲 井岡一翔との対戦の可能性は
5日(日本時間6日)、アメリカのサンディエゴでボクシング4階級王者のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)が、WBC世界フライ級王者フリオ・セサール・マルティネス(メキシコ)とスーパーフライ級12回戦で対戦した。
ゴンサレスは当初、WBAスーパー、WBCフランチャイズフライ級王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)との対戦予定だったが、エストラーダの新型コロナウイルス感染により、対戦相手がマルティネスに変更された。
試合の展開
試合が始まるとガードを固めながら前に出るゴンサレスに対し、マルティネスは打ち終わりにパンチを合わせる。
マルティネスは左構えにスイッチをしながら、活路を見出そうとするが、ゴンサレスの勢いは止まらない。
中盤になるとマルティネスも打ち返して見せ場を作るが、手数でも圧倒的にゴンサレスが優勢だった。
6ラウンドには、ゴンサレスの左フックがマルティネスを直撃、後退したマルティネスに追い討ちをかけるように連打を浴びせる。マルティネスもなんとか打ち返していたが、苦しい展開だ。
打ち合いが次第にヒートアップしてきた終盤。
マルティネスは、度重なるボディへのダメージのせいか、口呼吸になるほど追い込まれていた。手数が止まらないゴンサレスに対し、マルティネスは最後に力を振り絞り強打を打ち返す。
激しい打ち合いが繰り広げられ、会場から大歓声が上がった。
規定のラウンドで決着がつかず勝負は判定へ。結果はゴンサレスが3-0(118-110 117-111 116-112)の判定で勝利し、WBCダイヤモンド王座を獲得した。
混戦のスーパーフライ級
対戦相手の変更や、前日計量でマルティネスが約630グラムオーバーし、罰金が科されるなどハプニングもあったが、ゴンサレスが貫禄を見せつけ勝利した。
ミニマム級から4階級を制覇したゴンサレスだが、以前から一つ上の階級であるバンタムも視野に入れている。
現在、スーパーフライ級は大混戦になっている。
2つのベルトを持つエストラーダは、コロナの影響で離脱。IBF王者で9度の防衛を誇っていたヘルウィン・アンカハス(フィリンピン)は、2月に同級11位のフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)に敗れ王座を失った。
アンカハスが勝てば、WBO王座の井岡一翔との統一戦が内定していたが、これにより白紙となった。
さらにWBCの正規王座をめぐる戦いは、新鋭のジェシー・ロドリゲス(アメリカ)が、元王者のカルロス・クアドラス(メキシコ)に勝利し、新王者となった。
これに加えて、ゴンサレスに2連勝しているシーサケット・ソー・ルンヴィサイ(タイ)の動向も気になる。
タレントが多いスーパーフライ級だが、複数の王座が乱立している状況だ。
日本人王者との対決は
ゴンサレスは今回の試合の前に「バンタム級に上げて5階級制覇を目指すかもしれない」とコメントしている。
ミニマム級からスーパーフライ級まで4階級を上げてきたゴンサレスだが、5階級目は未知数だ。
今後の動向として気になるのは、ゴンサレスと日本の世界王者たちとの対戦だ。
試合後のインタビューで、バンタム級に上げた場合、WBA&IBF世界同級統一王者井上尚弥(28=大橋)との対戦について聞かれていたが、ノーと否定していた。
観たい試合ではあるが、階級をスーパーバンタム級に上げようとしている井上と、下の階級から上がってくるゴンサレスではタイミング的に対戦の実現は難しいだろう。
より現実的なのは、WBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32=志成)との対戦だ。
井岡とゴンサレスは、ライトフライ級時代に対戦の可能性が浮上したこともある。
この階級の統一を目指す井岡と、ビッグマッチを望むゴンサレス。2つのベルトを持つエストラーダの動向次第だが、対戦の実現は十分にある。
井岡とゴンサレスは、ともにミニマム級から4階級を制覇してきたレジェンドだ。もし、対戦が実現すれば、混戦を極めるスーパーフライ級の中でも注目の一戦となるだろう。