ノルウェー人44%が石油事業縮小に賛成、42%が反対 世論二分する「石油と環境」
ノルウェー人の約半数が環境のために、一部の地域では石油を新たに採掘しないことを希望していることが分かった。左派新聞ダーグブラーデの依頼により市場調査会社イプソスが調査し、8月3日に発表された。
大気汚染物質である排ガスを削減するために、ノルウェーでの石油事業を制限したいかという問いに対して、44%が「制限したい」、42%が「制限したくない」、15%が「わからない」と答えた。
女性の回答者の52%が石油事業縮小を望んだのに対し、男性は36%と、男女間での意識の違いが明確となった。
ダーグブラーデ紙は、「ノルウェー人は気候のために、石油を掘らずにそのままにしておきたい」という記事タイトルをつけた。
ノルウェーは石油事業縮小に向かっているという書き方をしているが、縮小を望んでいない人は42%。実は、反対派と賛成派の割合に大きな違いはない。
記事の大文字しか読まない人もいるので、タイトルによる印象操作の影響は大きいとみられる。立場が異なる人によっては、「いまだにノルウェー人は石油事業を望んでいる」という見出しも可能だっただろう。
9月に国政選挙を控えるノルウェーだが、右派・左派ともに大政党はどこも石油事業縮小には消極的だ。
環境議論をしようとする小政党に対し、大政党は選挙のテーマを税金・雇用・移民問題にもっていこうとする傾向が目立つ。逃げ腰だともメディアや環境団体に指摘されている。
大政党のその戦略が逆効果となり、環境問題を気に掛ける有権者が意思表示のために小政党に投票する可能性も見え隠れしている。
これ以上の石油事業には一切賛成しないという姿勢を明確にしている小政党のひとつが「緑の環境党」。代用となる雇用・経済対策が国民に伝わっておらず、「夢を見ている理想家ばかり」という批判も受けている。だが、最新の世論調査では、国政選挙では国会議員が1人から8人へと大幅に増加する予測もでている。
Photo&Text: Asaki Abumi