空腹のホッキョクグマが鳥の卵を食べ始める ノルウェー
地球温暖化の象徴ともいえるホッキョクグマと減り続ける海水や雪。気候変動が原因で、ホッキョクグマの食生活にも異変が起きている。
ホッキョクグマは氷の上からアザラシをつかまえ餌としていた。ノルウェーのスヴァールバル諸島では、氷がある北部へと移動できず、空腹となったホッキョクグマが鳥の卵を食べ始めたと現地の研究者たちが報告している。
19日付のクラッセカンペン紙とノルウェー極地研究所の報告によると、現地の鳥類研究者たちは、同じエリア内に5~6頭のホッキョクグマを発見。食事の度に1頭につきおよそ30~40個の鳥の卵(6~8キロ)を食べている様子が観察された。
卵だけではなく、ヒナ、死んだ鳥も食べており、陸で産卵する雁(がん)やホンケワタガモへの影響は大きい。ノルデンシオルド海岸では2004~2014年にかけて90%の卵、とある小島ではホッキョクグマが3~4日過ごしている間にホンケワタガモの卵300個が食べられた。
スヴァールバル諸島でホッキョクグマが鳥の卵を食べた様子が初めて観察されたのは2004年だが、これほどまでの数の卵が餌となったことはなかった。研究所の2015年の報告では、ホッキョクグマの一部は鳥の卵をお気に入りとしており、卵を目的に毎年戻ってくるものもいるという。
ホッキョクグマの健康にも影響を及ぼしており、卵を食べた後は水分量が多い糞を残している。鳥の卵がアザラシの代用となる十分な栄養源となるかはわかっていない(研究所HP)。
プロップ鳥類研究者は「ここ数年で頻繁にホッキョクグマを見かけるようになった。私たちの研究対象は、鳥からホッキョクグマになってしまっている状態。ホッキョクグマは休憩をとるまでに20キロの卵を食べることもあり、産卵地に交代でやってくるようになった」とクラッセカンペン紙に語る。
このままでは鳥たちの生態系に大きな影響を与えると同紙に話すのはノルウェー極地研究所のガブリエルセン氏。「温暖化と氷の減少と関係している」と語る。
Text:Asaki Abumi