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羽生善治九段、広瀬章人九段を降して王座戦挑戦者決定戦に進出! 藤井聡太王座への挑戦権獲得まであと1勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 7月4日。東京・将棋会館において王座戦挑戦者決定トーナメント準決勝▲広瀬章人九段(37歳)-△羽生善治九段(53歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は21時33分に終局。結果は118手で羽生九段の勝ちとなりました。

 羽生九段はこれで挑戦者決定戦に進出。あと1勝で藤井聡太王座(21歳)への挑戦権を獲得します。

 もう一方の準決勝・鈴木大介九段(49歳)-永瀬拓矢九段(31歳)戦は明日5日におこなわれます。

羽生九段、堂々の挑決進出

 日本将棋連盟創設100周年という節目を迎えた今年、会長として多忙な日々を過ごしている羽生九段。盤上でも好調で、今年度はここまで5勝1敗です。

 唯一の黒星は王位戦リーグ最終戦、飯島栄治八段に喫したもの。もしそこを勝っていれば、渡辺明九段とのプレーオフになっていました。

 羽生九段は過去に王座24期(19期連覇&5連覇)という、途方もない金字塔を打ち立てています。

 タイトル獲得は通算99期。100周年での100期達成となるでしょうか。

 一方の広瀬九段も好調で、今年度はここまで負けなしの5勝0敗。前年度からは6連勝中でした。

 2018年の竜王戦七番勝負で羽生竜王(当時)に挑戦し、4勝3敗で竜王位を奪取し、タイトル100期を阻止したのは、広瀬現九段でした。

 本局は広瀬九段先手で相掛かりに。広瀬九段が歩得をする一方、羽生九段は金銀を前に押し進め、難しい序盤となりました。

 午後に入って本格的な戦いが始まると、局面は一気に終盤の様相に。そして夜戦に入ると、きわどい寄せ合いとなりました。図は羽生九段が△8九銀と打ったところです。

 持ち時間5時間のうち、残りは広瀬1時間5分、羽生23分。以下は▲8七銀△2八龍▲4八桂△3九飛成と進み、このあたりから羽生九段が優位に立ったようです。

 最後、羽生玉は追及をかわして逃げ越す一方で広瀬玉は受けなしに。118手目、羽生九段が銀を打って王手をかけたところで、広瀬九段は投了しました。

 両者の対戦成績はこれで羽生九段23勝、広瀬九段16勝となりました。

 羽生九段が30局以上戦っている棋士は15人いて、そのうち負け越しているのは豊島将之九段だけです。

鈴木-永瀬戦も激熱

 もう一方の準決勝・鈴木九段-永瀬九段戦は、なんとも胸熱のカードです。

 十代でまだ四段だった永瀬現九段を叱咤激励し、数え切れないほどの練習対局で鍛え上げたのが、先輩で格上の鈴木現九段でした。

 のちに鈴木九段は激務の理事職を6年間、務めあげます。鈴木九段が退任後、研究会に誘い、練習パートナーの一人となったのが、当時王座のタイトルホルダーだった永瀬現九段でした。

 その両者が公式戦の大きな舞台でぶつかります。

 両者の過去の対戦成績は、永瀬九段の4戦全勝です。

 麻雀のプロとしても二刀流の大活躍を見せる鈴木九段。藤井現王座へのリターンマッチを目指す永瀬九段。どちらが勝ち上がってもドラマチックですし、羽生九段との挑戦者決定戦も熱いものとなりそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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