たっぷりこし餡と羽二重餅のハーモニー「松岡軒」さんの銘菓を甘さ控えめのこし餡と最中で挟んで
定番和菓子のひとつ、最中。今では様々なキャラクターの形であったり、お城などその土地の名所を模ったもの、更には白やピンクなど慶事にも重宝される組み合わせのものなど、実に多彩な進化を遂げている和菓子のひとつ。
自分であんこを挟んで出来立てのざくざくとした食感を楽しむものや、あんこ以外の乳製品などを挟んだりなど、探してみると選択肢も意外と多く実にユニーク。中にはお料理とあわせたものも…。
創業明治30年、福井県の名物和菓子でもある羽二重餅発祥といわれている老舗「松岡軒」さん。福井県に繁栄をもたらした文化とひとつといっても過言ではない養蚕と絹織物、その絹のように繊細で滑らかな羽二重餅は、お土産としても全国の百貨店などでも取り扱われるなど大人気。今回は、その羽二重餅を最中に閉じ込めた銘品「羽二重もなか」をご紹介。
一般的な最中は平らなものが多いのですが、松岡軒さんの最中はころんとした不思議な形。実はこちら、絹には欠かすことのできない繭玉をイメージしているのだとか。そっとお皿にのせただけで、ぷいっとそっぽをむいてしまうほど丸みを帯びたフォルムは、なんとも愛嬌がありますね。となると、刻印されている模様は、蝶ではなく蚕の成虫でしょうか。
焦がし最中種(糯米100%の最中種)は思いのほか香ばしく、意外な力強さに驚かされました。ぱりぱりっとした歯応えもしっかり備わっております。
そしてこし餡がなんともいえない、滋味深く優しい味わい。甘さを控えたこし餡はゆっくりじんわり舌先から染み込んでくるようで、正直最中でこんなに慎ましやかな味わいのあんこはなかなかお目にかかる機会は無いのではないかと思ってしまうほど。
また、たっぷりのこし餡の中心に大事に包まれている羽二重餅はトロリと舌に纏わりつき、糯米の旨味や甘味がしっかりと伝わります。繊細ゆえに、砂糖甘いようなあんこでは確かに釣り合わないであろう、焦がし最中種・こし餡・羽二重餅の絶妙なバランスに感服です。
口に入れた瞬間、思わず目を閉じて頷いてしまうであろう羽二重もなか。さくさくとした最中種、しとやかなこし餡、ねっとりとした羽二重餅の三重奏をぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
ばら売りの場合は、潰れてしまわないよう持ち歩きの際にはご注意を。
<松岡軒・本店>
公式サイト(外部リンク)
福井県福井市中央3-5-19
0776-22-4400
9時~18時(カフェ 11時~17時)
定休日 元旦(カフェ 木曜)