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このままいけば、大谷翔平は「シーズン長打100本」に到達。過去の達成者はベーブ・ルースら15人

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Jul 18, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは94試合を終え、大谷翔平は58本の長打を打っている。エンジェルスの1.62試合につき、長打1本だ。ここからの68試合もそうなら、シーズン全体では、162試合で100本の長打となる。

 1シーズンに100本以上の長打は、延べ15人が記録している(ニグロリーグは含めていない)。ルー・ゲーリッグチャック・クライントッド・ヘルトンは、2度ずつだ。時期は、1921~48年に9人、1995~2001年に6人。1949~94年と2002年以降は一人もいない。

 最初にシーズン100本以上の長打を打ったのは、1921年に119本のベーブ・ルースだ。前年に自身が打ち立てた99本の最多記録を塗り替え、今日も歴代1位に位置する。ルースの前は、ティップ・オニール(1887年)とハフ・ダフィー(1894年)の85本が最も多かった。その後、110本に達したのも、ルースの他には、1927年に117本のゲーリッグしかいない。この年のニューヨーク・ヤンキースは、ルースとゲーリッグが3・4番を打ち、ルースは長打97本を記録した。

筆者作成
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 1921~48年の9人は、チームが94試合を終えた時点の長打が、60本を超えていた。当時のシーズンは、1チーム154試合だった。一方、シーズンが162試合となってからの6人は、いずれも94試合の時点で60本に達していなかった。その本数は、現時点の大谷とほとんど変わらない。多い順に、2001年のバリー・ボンズが59本、2000年のヘルトンと2001年のルイス・ゴンザレスが58本、1995年のアルバート・ベルと2001年のヘルトンが57本、2001年のサミー・ソーサは56本だ。

 なかでも、1995年のベルは特筆に値する。この年は、162試合ではなく、144試合の短縮シーズンだった。前年からのストライキにより、開幕が遅れた。にもかかわらず、ベルは103本の長打を記録。クリーブランド・インディアンズの95試合目以降、最後の50試合におけるベルのホームランは、25本を数える。2試合に1本の割合だ。また、二塁打もホームランも50本以上の「50-50」は、この年のベル以外に誰も成し遂げていない。

 15人のうち、2001年のゴンザレスは、チームの94試合が終わった時点の長打の内訳が、今シーズンの大谷に最も近い。二塁打が17本、三塁打が4本、ホームランは37本。二塁打が大谷より3本少なく、ホームランは3本多いが、三塁打と合計の本数、58本の長打はまったく同じだ。ゴンザレスはアリゾナ・ダイヤモンドバックスの残り68試合で、二塁打19本、三塁打3本、ホームラン20本を積み上げ、シーズン100本の長打を記録した。

 ゴンザレスが長打70本に達したのは109試合目、80本は127試合目、90本は145試合目、100本は162試合目だ。最後の30本は、ほぼ同じ試合数で10本ずつ。これは、大谷が長打100本に到達できそうかどうかを測る際の、ここからの目安となるかもしれない。

 なお、現時点で大谷に次ぎ、両リーグで2番目に長打が多いのは、51本のラファエル・デバース(ボストン・レッドソックス)だ。その下には、50本のブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)がいる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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