(速報)給付型奨学金に「教育国債」?
給付型奨学金の続報出る
一昨日に引き続き、給付型奨学金の記事がヤフートピックスに出た。
「高校成績「4」以上→月3万円 給付型奨学金の自民案」 朝日新聞デジタル 10月21日(金)6時26分配信
ポイントは2つ。
1、成績要件
2、教育国債
成績要件
朝日は以下のように報じている。
自民党は、返済する必要がない給付型奨学金について、原則として高校時の成績が5段階評定で平均4以上であることを条件に、月3万円を給付する方向で文部科学省と調整を始めた。
この要件を満たす者が、約1.6万人。
その他、高校推薦で年間2.5万人程度が該当する見込みという。
高校の推薦枠を約9千人分とっているということだ。
貧困家庭は、教育環境が整っておらず、塾代など教育投資をできない家庭も少なくない。
必ずしも成績抜群でなくても、家庭事情にかかわらず努力していて、学校が「応援したい」と思う高校生はいるだろう。
高校時代を無欠席・無遅刻・無早退で通し、
ソフトボール部の副主任としてがんばったみどりや
暮らしていた児童養護施設の65年の歴史で、
初の国公立大学進学を果たした窪村君など、
(「2億円の給付型奨学金創設を「あたりまえ」と言うルートイングループ会長の考え」)
かつて取材した人たちの顔が思い出される。
高い成績要件が求められることで、多くの高校生が事実上排除されてしまう懸念を伝えたが、
自民党案では、それへの対処が想定されていることがわかった。
評価したい。
教育国債
他方、財源については、依然としてはっきりしない。
一方、財源については、将来的には特定扶養控除や教育国債などを活用する案が検討されていますが、来年度については間に合わないため、文部科学省でさらに検討を続けています。
ただ驚いたのは「教育国債」という新たな財源が検討されている、と報じられたこと。
「教育国債」とは、用途を教育支出に限定した国債を意味する。
以前には、北海道大学の宮脇淳教授が以下のように述べ、
近年は与野党の中に提唱者が表れている。
宮脇淳教授
教育等人づくりへの財政支出を重視するなら、施設等ハード中心の公共事業から人づくり等ソフト中心の公共投資に概念を転換し、建設の俗称にとらわれない4条債発行の概念を再構築する必要がある。
20歳前後までの教育等人づくりに国債を発行し、成人した人材が生涯の経済社会活動を通じ納税等により返済する。
赤字、建設の区別自体を深掘りして議論することが、政策転換には必要である。
その際に、今後の施設等ハードの社会資本整備をどう展開するかも含め、国の債務を累増させない中長期的な財政規律と国家信用確保のための国債管理政策の確立が大前提となる。
経済観測:公共投資の質転換を=北海道大公共政策大学院教授・宮脇淳
毎日新聞 2009.10.31 東京朝刊 7頁 経済面 (全697字)
全国教育問題協議会(全教協)
全教協顧問の小林正元参議院議員は
「安倍政権が教育問題で打ち出しているのは、幼児教育の無償化、高校生への小学給付金、フリースクールなどだが、もっとも大切なのは、教育とは未来への投資であるということ。
10兆円が教育再生に必要であれば教育国債を通して国民が教育の未来へ投資することが大切」
と述べ、全教協の理事会でも、この点についてさらに啓蒙拡大していく必要性が話し合われました。
玉木雄一郎・衆議院議員
前回の東京オリンピックが開催された昭和30年代の日本の課題は、道路や港湾といったインフラ整備でした。
そしてインフラはいったん完成すれば、後の世代も恩恵を受けるという理由で、インフラ整備には、財政法上、「建設国債」の発行という形の借金が認められ、整備が加速していきました。
あれから約半世紀、再び東京でオリンピックが開催されるようになった現代の日本が抱える最大の課題は、少子化・人口減少です。
人が減り続ければ経済成長はあり得ないし、逆に人が生まれ育てば、その恩恵は後の世代も含めて享受できます。
そうであるなら、今の日本において、借金してでも増やすべきなのは、公共事業予算ではなく、子育てや教育関連の予算ではないでしょうか。
そのために発行するのが「こども国債」です。
半世紀の時を経て、「建設国債」を必要とする時代から「こども国債」を必要とする時代に変わったと言えます。
財政政策の大転換!?
もし自民党が本当に「教育国債」の発行を行うに至るのであれば、
財政政策上の大転換となる。
給付型奨学金問題が、日本の財政政策の大胆な見直しを行う引き金になるかどうか、
財源問題の完全決着まで目が離せない。