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春を思わせる日本海低気圧後も北海道には強い寒気の南下

饒村曜気象予報士
春 立春 東風解凍(提供:アフロ)

日本海で低気圧が発達

 2月3日(日)は、前線を伴う低気圧が日本海を通過することで広い範囲で雨が降る見込みです(図1)。

図1 予想天気図(2月3日21時の予想)
図1 予想天気図(2月3日21時の予想)

 寒気の南下が強いときには、日本近海で低気圧は発生しませんし、発生しても日本の南海上であることから、日本海で低気圧が発生するということは、春の兆しが近いということです。

 低気圧に向かって強い南風が吹きこみますので、気温は全国的に高く、九州や沖縄では4月並の暖かさとなる見込みですが、すぐに西から北西の風に変わり寒気が南下してきます(図2)。

図2 強い南風と強い西~北西の風(2月4日3時)
図2 強い南風と強い西~北西の風(2月4日3時)

関東地方の春一番

 立春後に、最初に日本海で低気圧が発達し、強い南風が吹いたときを春一番と言いますが、今年の立春は2月4日です。

 春一番の定義は、地方によって多少異なりますが、関東地方の春一番の定義は、立春以降という条件に加えて、「東京で最大風速が8メートル以上の西南西から東南東の風が吹き、前日より気温が上がる」です。

 東京では、2月3日は9メートルの強い南風が吹き、気温が前日より上昇しますが、立春前ですので該当しません(図3)。

図3 東京の気温変化の予想(2月3~5日)
図3 東京の気温変化の予想(2月3~5日)

 立春の2月4日は、3時頃に12.6メートルの南南西の風が吹きますが、この時点では前日の気温を上まわらない予報です。

 晴れていることから気温が再び上がり、昼前には前日より気温が高くなりますが、風向は北風です。

 ということで、関東地方で春一番が吹くかどうかは微妙です。

 微妙ですが、東日本から西日本、沖縄地方では春が近づいていることにはかわりがありません。

 一方、北日本ではまだまだ冬が続きます。

北海道まで寒気が南下

 今年の冬の特徴として、強い寒気の南下は北海道までのことが多く、西日本は南から高気圧の張り出しが強いために寒気がほとんど南下してこないという特徴があります。

 日本で春一番を吹かせるかといわれる低気圧は、北海道を通過し、北海道の日本海側を中心に見通しのまったくきかない猛ふぶきや吹きだまりによる交通障害、暴風・高波をもたらしますので、十分な警戒が必要です。

 そして、低気圧通過後は、強い寒気が北海道まで南下してきます(図4)。

図4 上空約5500メートルの気温(2月5日朝)
図4 上空約5500メートルの気温(2月5日朝)

 大雪の目安となるのが、上空約5500メートルの気温が氷点下36度になることですが、氷点下42度の寒気が北海道に入ってきます。

 また、7日夜にも氷点下45度という寒気が入ってきますが、5日の寒気と同様に、寒波の目安となる氷点下30度線は、北日本から南下しません(図5)。

図5 上空約5500メートルの気温(2月7日夜)
図5 上空約5500メートルの気温(2月7日夜)

 立春は一年のうちで一番寒い時期にあたります。ただ、冬至の頃に比べると、昼間の時間がかなり長くなり、昔から「光の春」という言い方をします。「気温の春」はまもなくなので、もう少し頑張ろうという意味での「光の春」かと思います。

 立春以降、「気温の春」が感じられる地方が多いと思いますが、北海道ではしばらく「光の春」が続きます。

 それでも、北国の春は近くまできています。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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