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週明けは台風21号が暴風域を伴って沖縄接近 秋雨前線の動向は?

饒村曜気象予報士
西日本から東日本の南岸に停滞する秋雨前線(10月26日12時)

秋雨前線

 西日本から東日本の南岸には秋雨前線が停滞しています。

 このため、北陸や北日本では晴れ間が広がっていますが、西日本から東日本太平洋側を中心にくもりや雨となり、雷を伴った激しい雨の降った所もあります(タイトル画像)。

 南西諸島も雲が広がりやすく、所によりにわか雨が降っています。

 秋雨前線がほぼ同じ位置に停滞することから、このような全国の天気分布は、一週間ほど続く見込みです(図1)。

図1 全国の10日間予報(ウェザーマップによる、数字は最高気温)
図1 全国の10日間予報(ウェザーマップによる、数字は最高気温)

 10月31日と11月1日の那覇の予報は、強風が吹いている傘マークで、台風21号の影響がでてくるという予報となっていますが、現時点では、台風21号の進路予報には大きな予報円がついています。

 まだまだ誤差が大きく、台風の進路によっては予報が大きく変わる可能性があります。

 ただ、台風周辺の暖かくて湿った空気の日本列島への北上が続いていますので、秋雨前線が活発化し、広い範囲で強い雨が降る可能性がありますので注意が必要です。

 気温は、平年より高い状態が続いているのですが、10月末ともなると、平年値そのものが低くなっていますので、最高気温が30度以上の真夏日予想は沖縄以外では無くなり、25度以上の夏日も東日本や北日本ではほとんど無くなっています。

 10月26日に全国で気温が一番高かったのは、沖縄県・下地島と仲筋の31.8度で、全国の25地点(気温を観測している全国914地点の約3パーセント)で最高気温が30度以上の真夏日を観測しました(図2)。

図2 夏日、真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(10月27日以降は予想)
図2 夏日、真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(10月27日以降は予想)

 また、最高気温が25度以上の夏日を観測したのは79地点(約9パーセント)でした。

 10月27日は、秋雨前線が一時的に弱まって少し晴れ間が広がることから、真夏日が18地点(約2パーセント)程度、夏日が154地点(約17パーセント)程度と26日より増える見込みですが、それでも9月中旬まで続いていた記録的な暑さは、遠い昔の感があります。

 東京都心についていえば、9月18日が今年最後の猛暑日(最高気温が35度以上の日)、9月20日が今年最後の熱帯夜(便宜上、最低気温が25度以上の日を熱帯夜と定義)、10月19日が今年最後の真夏日になりそうです。

 そして、今年最後の夏日は、今のところ、10月24日ですが、台風21号によって南から暖気が北上する11月2日になるかもしれません。

 記録的な暑さの夏は終わったといえますが、まだ夏の名残の台風が接近してきます。

台風21号の進路予報

 気象庁が発表する台風の進路予報は5日先までですので、31日以降の進路予報は発表されていませんが、10月に日本に接近する台風の多くは、台風21号のように、マリアナ諸島近海で発生したものです。

図3 台風21号の進路予報と衛星画像(10月27日0時)
図3 台風21号の進路予報と衛星画像(10月27日0時)

 台風21号は、風速が15メートル以上の強風域が非常に広い台風で、大型の台風に分類されています。

 この大型の台風21号が進む海域は、海面水温が台風発生・発達の目安となる27度以上ありますが、現時点では、中心の北側には発達した積乱雲が少ない状態です。このため、台風が暴風域を持つところまで発達するのは、来週の週明け以降と考えられます。

 そして、10月30日には沖縄の南で、中心気圧945ヘクトパスカル、最大風速45メートル、最大瞬間風速60メートルとなって沖縄県先島諸島に接近する見込みです。

 台風21号の情報は最新のものをお使いください

 気象庁は、台風の暴風域に入る確率を3時間ごとに発表していますが、この確率が10パーセント以上になるのは、沖縄県宮古島地方で10月31日以降の見込みです(図4)。

図4 沖縄県が暴風域に入る確率(10月26日21時発表)
図4 沖縄県が暴風域に入る確率(10月26日21時発表)

 台風がまだ日本から離れている段階ですので、10月31日夜遅くに宮古島で31パーセント、沖縄本島南部で5パーセントと、まだ確率の値は小さいのですが、台風の接近とともに確率の値が増えてきますので、今後の変化に注意が必要です。

 加えて、前述の図3でも示されていますが、台風21号の東に広い範囲で積乱雲の塊があります。

 この積乱雲の塊は、台風21号の北上とともに北上してきますので、台風接近前から大雨となる可能性があります。

 台風の中心付近だけではなく、台風周辺にも注意が必要なのが、今回の台風21号です。

タイトル画像、図1、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図4の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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