「すぐやる人」もいいが、「すぐやり切る人」になる方法も教えます
「今すぐやる人」に「今すぐなる」のは無理だが、1年後には「今すぐやる人」に変身する方法で、「すぐやる人」になるには、自分自身をホテルのポーターだとイメージし、「軽い荷物を、軽い気持ちで、軽く押す」ようにやるべきことを処理すればよい、と書きました。
しかし「すぐやる」と言っても、「とりあえず手を付けてみる」「ひとまずスタートする」だけで終わってしまう人もいます。たとえば資料作成を考えてみましょう。1時間ぐらいかかる資料作成をやろう! と決め、すぐ取り掛かりました。しかし、その後、何となくフェイスブックを見たり、ネットのニュースを読んだりしているうちに、だらだらと時間が過ぎ、まだ20%ぐらいしか資料作成ができていないのに、想定していた1時間が過ぎてしまい、途中でやめてしまう。作業が終わってもいないのにやめた理由は、「とりあえず手を付けてみる」「ひとまずスタートする」という目的は達成できたので、それで満足してしまうのです。
先述のコラムで「台車理論」を書きました。台車に荷物を載せて、動かすことはできたものの、目的地に着く前に、誰かとお喋りをしたりして時間を浪費させているポーターではいけません。荷物運搬が仕事のホテル従業員がポーターなのですから、寄り道などせず、速やかに荷物を目的の場所まで届けなければならないのです。そこそこ重い荷物だと、途中で立ち止まってしまうことにより、再び動かすのにストレスがかかります。できれば一気にやり切りたいですね。
「台車理論」で披露したとおり、平坦ではない路面の上ではうまく台車を動かすことができません。押すのにとてもストレスがかかります。これらの摩擦抵抗を減らすために、ノイズをカットしていきましょう。ノイズは2種類あります。
■ 脳内でリフレインするノイズ
■ 外部から浸入してくるノイズ
そしてこれらのノイズを除去するためには、「時間」「空間」「手法」を選んだほうがよいように思います。
作業をしているうちに、「やっぱりやりたくない」「面倒くさい」「本当にこの仕事、必要なのかな」……などと、脳内でグダグダ考えていると摩擦抵抗がひどくなっていきます。これが「脳内でリフレインするノイズ」です。これらをノイズカットするために、私がお勧めするのは「時間帯」を選ぶことです。
すぐやり切るために私は「早朝」をお勧めします。お勧めしないのが「夜」です。「深夜」など、もってのほか。夜はその日に味わった雑念、雑感、雑音が脳内で乱反射して、うまく集中できない可能性が高いのです。突然やってきた仕事の〆切が夜の12時だった、という緊急のケースならともかく、そうでないなら早く寝て、その分早めに起きて仕事に取り掛かるほうが効率的です。寝ている間に脳内ノイズは沈殿して、心の摩擦抵抗はかなり減っていることでしょう。
外部から浸入してくるノイズをカットするためには、「場所」を選ぶことも重要です。「1時間集中したい」と考えたら、誰かに話しかけられて中断を余儀なくされるオフィスより、ひとりで会議室にこもるほうが得策かもしれません。カフェで仕事をしていると隣の人の声が気になるかもしれませんから、音楽を聴きながら集中するとか、誰もいない空間を見つけるとか(私の場合、早朝の自宅、もしくは新幹線の中)対策をとったほうがよいでしょう。
「手法」についても言及します。最も気を付けたいのは「ネット対策」。パソコンなどで作業する場合は、やり切るまで、ネットワークを遮断することを強くお勧めします。日中であれば、携帯電話やスマホの電源を切ることも忘れずに。3時間や4時間集中しなければ完遂できない仕事であっても、何らかの連絡が入ってくるかもしれないという緊急なケースを除いてシャットアウトします。
私の場合、早朝4時半ぐらいに起きて、コラムやメルマガの執筆をします。脳内のノイズもほとんどありませんし、外部から侵入してくるノイズもありません。携帯電話の電源を入れても入れなくても関係がない。こんな時間に連絡が入ることはないからです。気を付けているのはパソコンのネット接続だけ。接続さえしなければ、「すぐやる」だけでなく「すぐやり切る」ことができます。
「すぐやり切る人」になるためには、「やり切るんだ!」という強い意志も必要でしょうが、ノイジーな時代独特の対策も必要だと考えています。