【クラブW杯】今さら聞けない!? 3度目の優勝を目指すバルセロナのエンブレムはなぜ「鍋型」なのか?
12月20日(日)、神奈川・横浜国際総合競技場で、サッカーのクラブ世界一を決めるクラブワールドカップの決勝、バルセロナ(スペイン)とリバープレート(アルゼンチン)が対戦する。バルセロナが勝てば3度目の優勝、リバープレートが勝てば初優勝となる。
リバープレートのユニフォームやエンブレムについては先日、その由来を説明したが、今回はバルセロナのエンブレムを紹介したい。
◇「ブラウグラナ(青とえんじ)」の決定的な由来は判明していない
FCバルセロナは、1000年以上の歴史を持つカタルーニャ(Cataluna)州の中心地、国内第2位を誇る約160万人のバルセロナが本拠地だ(カタルーニャは自治州としても認められており、スペイン語=カスティリャーノ語だけでなくもカタルーニャ語/Catalaも公用語として認められている)。
クラブの誕生は1899年のこと。後に4代目会長となる22歳のスイス人のハンス・ガンペールが新聞上に「サッカークラブを作りたい」と呼びかけたことがきっかけだったという。
ガンペールがユニフォームの色に、現在は愛称の一つにもなっている、バルセロナの象徴的な「青とえんじ」、つまり「ブラウグラナ(Blaugrana)」を採用した。それは、彼が以前に青と赤のユニフォームで知られるFCバーゼルに在籍していたためと一般的には信じられている(実際はこの仮説は誤りであることが判明しているという。他にも彼のスイスの出身州の色や会計士が使う青と赤の鉛筆が当時流行っていたという説や、コママラ兄弟の母親が赤と青のたすきを作ったという説も。いずれにせよ青とえんじが選ばれた決定的な理由は判明していないという)。
◇「コオロギ鍋」とは? 「鍋型」になった理由
そんなバルサ(バルセロナの愛称の一つ)のエンブレムは、世界中のサッカーファンの間で、すっかりお馴染みとなった鍋型だ。
ただ、設立当時のエンブレムは市の紋章にちなんだひし形のデザインで、バレンシアよろしく、上部には、王冠の代わりに幸運の印としてコウモリがあしらわれていた。それから数年後、クラブにふさわしい新しいエンブレムを作ろうと会議が行われた。言い伝えによると、会議は難航し、首脳陣の意見が一致しなかったという。その時、当時の事務局長が「!una olla de grillos! 」と発し たという。これは直訳すると「コオロギ鍋だ!」という意だが、転じて「大混乱」という意味も持っている。
それを聞いたガンペールが紙に書き留めて、「鍋」の形からヒントを得てデザインを提案し、出席者達の満場一致を得て、現在でも使用されている独創的な鍋型のエンブレムが誕生したとされている。
◇内部の構成はソシオのコンテストで決定!
さらに、エンブレム内部はジャーナリストが提案したもので、細かなデザインは1910年にソシオによるコンテストで決定。左上の赤い十字は、カタルーニャ人のアイデンティティである、カタルーニャの守護聖人「サン・ジョルジュ」の十字架。右上の赤い4本と黄色の5本のストライプはカタルーニャの旗や紋章にちなんだカタルーニャの色だ。中央にはカタルーニャ語のクラブ名(Futbol Club Barcelona)の頭 文字であるFCBが配置され、下部にはスポーツを表すサッカーボールとチームカラーである青とえんじのストライプが配された。
考案されて以来、エンブレムは基本的に現在まで変わらないが、色合いや線の太さなど若干の変更は何度か行われてきた。
1941年のスペイン内戦終了後には、エンブレムの中心に位置する頭文字が、スペイン語のクラブ名「Club de Futbol Barcelona」の頭文字CFBに、右上のカタルーニャ国旗の赤い4本線から2本線に強制的に変更された。だが1949年には右上のカタルーニャ旗が復活。フランコ独裁が終わる直前の1973年にクラブ名が戻され、翌年にはエンブレムの表記もFCBとなり、ようやく1910年に誕生した本来のバルセロナ伝統のエンブレムに戻った。
◇バルサが3度目のクラブW杯王者となるか?
当然、バルセロナの強さにあやかりたい!ということで鍋型のエンブレムは他にも見られる。ウズベキスタンの強豪ブニョドコル、2013-14シーズンからイタリアのセリエAで戦っているサッスオーロもバルセロナ同様、鍋型である。
メッシ、ネイマール、スアレスで結成されるFWの「MSN」がゴールを決めて、ユニフォームのエンブレムを掴んでファンにアピールするシーンを見ることができれば、きっと、バルセロナが3度目のクラブ世界一に輝くことができるはずだ。そうすれば、もっと鍋型のエンブレムのチームが世界中に増えることになるだろう。