シリア:イスラーム国の残党がカムア(トリュフの一種)を採取している住民らを襲撃
イスラーム国残党による襲撃
国営のシリア・アラブ通信(SANA)によると、シリア中部のハマー県サラミーヤ市の東にあるトゥワイズィーン・ダム近くで4月6日、イスラーム国の残党がカムア(トリュフの一種)を採取していた住民を襲撃し、2人を殺害、多数を負傷させ、数十人を誘拐した。
また、ハマー県サアン町でも、イスラームの残党が、カムアを採取していた住民を襲撃し、1人を殺害、多数を負傷させ、一部を誘拐した。
これに関して、英国で活動する反体制系NGOのシリア人権監視団は、イスラーム国がシリア軍や親政権民兵と交戦し、兵士多数を殺傷、警官・治安機関職員、住民合わせて59人を拉致したと発表した。また、反体制系サイトのザマーン・ワスルは、殺害・誘拐されたほとんどがスカイラビーヤ市出身者からなる国防隊隊員だと伝えた。一方、ドゥラル・シャーミーヤは、誘拐された者のなかに士官3人と政府職員2人が含まれていると伝えた。
シリア人権監視団によると、59人のうち、46人は7日までに解放されたが、警察・治安機関関係者ら13人は今も拘束されているという。
遠隔地に潜伏する残党
イスラーム国は2019年3月までにシリア領内における支配地すべてを失ったが、そのメンバーは、シリア政府やクルド民族主義勢力の民主統一党(PYD)が主導する自治政体の北・東シリア自治局の支配が及ばない遠隔の砂漠地帯に潜伏し、住民、シリア軍、親政権民兵、北・東シリア自治局の武装部隊であるシリア民主軍を襲撃し、略奪を行うなどして活動を維持している。
シリア軍、親政権民兵、ロシア軍は、こうした残党に対処するために、今も現地で掃討作戦を継続している。
今回の事件を受け、政府治安当局は、イスラーム国の残党が潜伏していると考えられる遠隔地域に近づく際は十分警戒するよう住民に呼びかけた。
しかし、シリア人権監視団によると、ヒムス県南東部のアブー・ルジュマイン山近く砂漠地帯で4月7日、カムアを採取していた男性2人が、地雷に触れて死亡した。