つけ麺界の旗手が全力で挑む「新感覚つけ麺」とは?
食文化として定着した「つけ麺」
つけ麺が市民権を得て久しい。つけ麺が生まれたのは今から半世紀以上も前、1955(昭和30)年のこと。東京中野の『大勝軒』の店長だった故山岸一雄さんがメニュー化したのが始まりと言われている。その後、1961(昭和36)年に山岸氏は独立して『東池袋大勝軒』を創業。「特製もりそば」の名前で提供したつけ麺が人気となり、山岸さんはつけ麺の生みの親と呼ばれるようになった。
90年代終わりから2000年初頭に興ったラーメンブームの中で、つけ麺はラーメンの一ジャンルとして再評価されていった。そして次々と新たな世代が新しいつけ麺を考案し、つけ麺専門店やつけ麺を看板メニューに据えた店が登場。さらに2007年の『東池袋大勝軒』閉店や2009年のつけ麺専門のフードイベント『大つけ麺博』などの開催もあって、つけ麺はブームから一つの食文化として定着していった。
そんなつけ麺激動の時代の最中、2005年にオープンしたのが『つけめんTETSU』である。ラーメンではなくつけ麺の文字を店名に掲げ、つけ麺を主力商品として打ち出し、さらに冷めてしまったつけダレを「焼き石」によって再加熱するというアイディアがヒットして、一躍人気店へと上り詰めた。現在は都内を中心に関東近県や関西にも28店舗展開している人気店だ。
次世代の一杯を生み出す闘い
そんな『つけめんTETSU』が7月1日より期間限定の新メニューを販売する。「冷やしニボトロつけめん」(900円)という一品は、TETSUグループの各店店長やスタッフたちが考案した創作つけ麺の中から社内及び外部での実食審査を経て選ばれたもの。毎年2回開催され今回で11回目となるという、店長参加による社内コンペの意図を『つけめんTETSU』を運営する株式会社YUNARI代表取締役社長、小嶋健さんに聞いた。
「一番の目的は店長の調理技術の向上です。ただ、美味しいものを作るだけではなく、売れる商品とは何かを考えてもらうこと、つまり商品開発力も高めて欲しいと考えています。世の中には美味しいラーメンが数多くあると思いますが、そのラーメンへの思いがお客様に伝わっているかどうか。美味しいラーメンが売れるラーメンではない、ということを客観的に考えられる力が回を重ねるごとについてきていると思います」(株式会社YUNARI代表取締役社長 小嶋健さん)
社内コンペはまず社内での一次審査があり、今回は33名の作品がエントリー。その中から選ばれた7作品がブラッシュアップを経て決勝審査に挑み、優勝作品を夏の限定メニューとして提供するという流れだ。今回のテーマは「冷やし」であることが掲げられ、さらに「選べる」というサブテーマが加わった。その優勝作品が「冷やしニボトロつけめん」だ。
麺もつけダレも冷たい新感覚つけ麺が誕生
「冷やしニボトロつけめん」はその名の通り麺もつけダレも冷たいつけ麺。冷たい水でしっかりと冷やして締めた平打ち縮れ麺をくぐらせるのは、濃厚でとろみのある煮干しのつけダレ。冷たくてサラッとしたつけダレは他にもあるが、濃厚でパンチがありながら冷たく仕上げてあるつけダレは斬新で新感覚の味わいだ。
サブテーマの「選べる」に関しては、旨味やコクをいかした弱から、ガツンとパンチの効いた強まで、煮干しの濃度を選べるように3種類のつけダレを用意。自分の好みの濃度を探す楽しさもある。さらに麺の上にはピリ辛の挽肉あんかけと、生姜味で仕上げた豚バラ肉と野菜もたっぷりと乗り、ボリュームも満点だ。
「麺もスープも冷たいつけ麺、いつものTETSUにはない特別感のあるつけ麺。つけ麺専門店である『つけめんTETSU』にふさわしい、夏らしい冷たいつけ麺が出来たと思います。お客様にも楽しみながら最後まで満足して頂けると確信しております」(小嶋さん)
TETSUグループが総力を挙げて作り上げた渾身の新感覚つけ麺「冷やしニボトロつけめん」。7月1日から2ヵ月間、つけめんTETSUグループ各店(キンシャリ屋、きみはんなど一部店舗除く)で提供される予定だ。ぜひ足を運んで自分好みの味を見つけて頂きたいと思う。
※写真は筆者の撮影によるものです。