「NPB12球団ジュニアトーナメント」阪神タイガースジュニアの最終セレクション
■NPB12球団ジュニアトーナメント
今年も年末に開催される「NPB12球団ジュニアトーナメント」。一般社団法人日本野球機構(NPB)とプロ野球12球団が連携し、「子どもたちが“プロ野球への夢”という目標を身近にもてるように」という考えのもとに企画されている、野球界にとって年末最後のビッグイベントだ。
この夏もNPB各球団はメンバー16人を選出するためのセレクションを行なった。阪神タイガースは予定通り、まずは1次セレクションである動画選考からスタート。そこから選ばれた選手が2次セレクションである2度の実技テストでさらに厳選され、肩肘検診もクリアした23人が先月末、最終セレクションとして紅白戦に臨んだ。
受験者たちは今年の首脳陣の上本博紀監督、岩本輝コーチ、藤川俊介コーチが見守る中、それぞれが持ち味を発揮し、元気よくプレーした。
セレクションでは毎年、前年のジュニアと保護者がお手伝いをしてくれるのが恒例だ。今年も「阪神タイガースジュニア2021」のメンバーとその保護者が駆けつけ、セレクションが円滑に運ぶようサポートしてくれた。ただ、日程的に同じ日に全員が集まれなかったのが残念だった。
■最終セレクションでの各コメント
では最終セレクションでのコメントを聞いてみよう。まず、「阪神タイガースジュニア2022」を率いる中村泰広氏に概要を語ってもらった。
◆中村泰広氏
(阪神タイガースジュニア代表、阪神タイガース振興部課長)
今年も応募は約300ありましたね。募集対象は「近畿圏に在住」とは書いているんですが、毎年四国の子は来ますね。プロ野球団(NPB)がないから。
今年もいい選手がたくさん集まりました。とても楽しみですね。
優勝するために監督やコーチもやってるので、そりゃ今年も優勝を目指してやりますよ。まだ優勝してないんでね。
でもね、選ばれたメンバーの子たちには、失敗を怖れず思いきって自分の力を出しきってくれたら、それでいいかなと思っています。タイガースジュニアでレベルの高い野球を経験して、これからどんどんステップアップしていく、その一つの糧にしていってくれたらいいかなと思います。
◆上本博紀監督
(昨年はコーチとして初めてジュニアに携わった。阪神タイガースアカデミーのコーチとして2年目を迎えた)
セレクションでどういう選手を選ぶかは、最初からあまりこれと決めずに、子どもたちのバランスを見て…という感じですね。
やはり最終まで残っているんで、全員何かいいものがある。ちょっと悩むところです。でも、決めなきゃいけないんで決めます。悩みますね。
子どもなんで将来のこともあるから、変にチームプレーとかさせようとは思っていないし、大きく育ってほしいと思っています。ただ、やっぱり勝負ごとなんで、勝つというのも大事。
去年見ていて感じたことがあるんです。お父さんやお母さんがこうやって手伝ってくれているし、遠くまで送り迎えしてくれている。だから、勝って優勝して、「人のために頑張る」というのも、子どもたちがわかればいいかなと思いますね。
最終まで残った女子もいる。タイガースも女子野球で盛り上がっているというか、頑張っている。でも、だから残ったのではなく、普通に実力で最終まで残った。それだけの力があるということ。
選ばれた子どもたちにとって、いい経験になればいい。レベルの高い中で野球ができるので、必ずいい経験になる。僕自身も1年経験したので、やはり色々違いますね。
◆岩本輝コーチ
(阪神タイガースアカデミーのコーチとして3年目、ジュニアの投手コーチとしても3年目)
いい選手が多いですよ。ピッチャーを中心に見てますけど、能力の高い子が何人もいるなっていう感じ。これから4カ月あるんで、より成長しそうな選手を選んでいきたいですね。
それと、実際にはジュニアの活動では1週間に1回とか2週間に1回しか会えないから、そこまで僕が教えてどうっていうのはないですけど…勝てる選手を選びたいと思いますね。
やはり負けるといい思いはしないですからね、勝負ごとなんで。勝たないとおもしろくはない。子どもたちにも勝つ喜びを味わってほしい。
でも、ここでメンバーに選ばれなくてもね、ここがすべてじゃないから。ジュニアに選ばれなくてプロ野球選手になってる選手も何人もいますし。
そして、選ばれた選手は、こんな大人数の中から選ばれたんだから、そこは自信をもってこれからやっていってほしいと思いますね。
いや、ほんといい選手が多いですよ。
◆藤川俊介コーチ
(昨年、現役を引退し、今年から阪神タイガースアカデミーのコーチを務めている。ジュニアのコーチは初)
僕、アカデミーだけではなく、レッドスターベースボールクラブのコーチもしてるんで、中学生も見てるんですよ。中学1年も見てるから、なんとなくそのあたりはわかるので、そこから考えて小学6年はどんなレベルかなっていうのを見ながら選考してるって感じですかね。
やっぱりレベル高いんじゃないですかね、最終までしっかり残っている子たちは。自チームでもしっかりと結果残したりしてる選手がほとんどだと思います。
選ばれたメンバーは僕らがどう伸ばしてあげるかだと思うんで、そういうところも気をつけながら見ていますね。
大会は短期決戦だから、メンバーにはそういう緊張する中で小っちゃくならないというか、自分の力がしっかり発揮できるような気持ちの持ち方とか、そういうのも教えていけたらなとは思います。大舞台で結果を出した選手が上に上がっていけるので、そういう選手を育てられたらなと思っています。
「阪神タイガースジュニア2021」を代表してキャプテンにもコメントしてもらった。
◆赤司海斗キャプテン
(兵庫西宮ボーイズ)
約1年ぶりにこうしてセレクションという場に来られて、自分たちが味わったものと同じものを味わっている後輩がいるってことが、ちょっと嬉しいですね。なんか自分のときのことを思い出します。
自分のときもやっぱり緊張はありましたね。自チームとのレベルの差が激しかったので、とくにね。
だから、先輩として少しでも緊張をほぐせたらいいなと思って、セレクションを受けている選手たちに声をかけました。やっぱり野球って声を出して、みんなでまとまってやるスポーツだと僕は思っているので、「緊張せずに声を出して、しっかり自分の思うプレーをしたほうがいいよ」っていうのは、何人かの子には言いました。
これから選ばれるメンバーの子たちには、練習をコツコツ積み重ねて初戦を勝って、そこから波に乗って、上まで上がっていってほしいですね。
ジュニアでは、普通に生活していたのでは味わえないことを味わえました。一緒に出会えた仲間だったり、監督やコーチがいたからこそここまで来られたので、ジュニアが経験できて本当によかったと思います。
このセレクションでは半年ぶりくらいに仲間に会えて、みんなの成長も見られたし、自分自身もまた新たな気持ちでスタートできたと思えるので、よかったです。
■どんな選手が出てくるか・・・
「NPB12球団ジュニアトーナメント」は12月27日~29日、明治神宮野球場と横浜スタジアムで開催される。各球団のジュニアたちはプロと同じユニフォームに袖を通して戦う。
この大会を経験したというプロ野球選手も年々増えてきた。今年もどんなプレーが飛び出すのか、そしてどんな有望選手が出てくるのか、非常に楽しみだ。
「阪神タイガースジュニア2022」のメンバーは、追ってお知らせしたい。
(表記のない写真の提供は阪神タイガースジュニア2021保護者会)