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~私達の生活に直結する~都議会劇場はこれからが幕開けです・その1

穂坂邦夫NPO法人地方自立政策研究所・財団法人日本自治創造学会理事長

 都議会議員選挙は小池さんが率いる都民ファーストが圧勝しました。都民の熱気と都政は都民が主役であることを肌で感じましたね。しかし、これからが本番で「都議会劇場」の幕が開きます。今回は皆さんがつくった都議会議員という「役者」について触れてみます。

○役者(都議会議員)の給料

 都民の皆さんが選んだ役者さんの給料は一般人と比べて意外に高額です。初舞台の役者も経験豊富な役者も同じ給料で、1年間で約1559万円(月額1,022,000円×12・プラス年3.25カ月のボーナス・1,022,000円×3.25カ月)が支給されます。さらに舞台稽古や学びの費用として月額50万円(年600万円)が支払われます。第2の給料と言われる悪名高い政務調査費で税金のかからないお金です。政務調査費の一部は都議会議員が出席するお祭りや新年会などの「お祝い」や「参加費」にも使われています。これらを合計すると総額では2150万円を超えています。さらに1日会議に出席すると1万円(23区内)が交通費として支給されます。議長になると一般の議員より400万円も高く、そのほか交際費も支給され、いずれも日本一です。東京都は全国で議員の数が一番多く、都議会議員の総員は127名です。

○民間の給与は低いのに、高額な役者(議員)の給料は都民の負担

 民間の給与平均は約400万円と言われていることを考えると都議会議員の給与は約4倍で、研修費用の600万円を加えると約5.5倍という高額です。しかもその給料は皆さん(都民)の税金から支払われています。ですから議員の人達には私達の3倍も4倍も働いてもらう必要があります。

○役者(都議会議員)の活動には都民の関心・監視が必要です

 役者の仕事を一言で言えば「私達の生活に大きく関わる様々な東京都の事業の全てを決める仕事」です。例えば小池知事が“保育所をもっとつくりたい、保育料を安くしたい”と言っても都議会議員(役者)の過半数がNOと言えば実行することが出来ません。

 でも、都民が「都議会議員を選ぶ」だけで関心を失ったとすれば、役者さんは仕事をしない危険があります。議員が決定権を持つ仕事の内容は保育所、学童保育、公立小中高等学校、特別養護老人ホーム、老人保健施設など私達を取り巻く福祉、教育や通学道路、一般道路の整備、水害や地震など、交通や地域の安全性の確保もあり、私達を取り巻く全ての生活に関係しているのですから重要です。築地だけが都政ではありませんよ。

 地価が高いこともあって東京都の税金の高さは日本一です。保育所や特別養護老人ホームは不足していませんか。保育料や特養の負担金は高くありませんか。もし、地価が高いから施設設置の遅れや負担金が高いのはやむを得ないという議員がいたら「税金が高いのだから理由になりませんね」と反論して下さい。

 これからは、どう都議会議員を働かせていくのか、が都民の役割になるでしょう。日本の民主主義を育てていくことにもつながりますから。

 私は、これから都民生活に密着する都議会・都政の状況について、様々な比較を交えながら皆さんに情報を提供していきます。

NPO法人地方自立政策研究所・財団法人日本自治創造学会理事長

埼玉大学経済短期大学部卒業。埼玉県職員、足立町(現志木市)職員を経て、志木市議会議員、議長、埼玉県議会議員、議長を歴任。2001年、志木市長に就任。2005年6月任期満了にともない退任。2005年7月、NPO法人地方自立政策研究所理事長。2010年4月より一般財団法人日本自治創造学会理事長に就任。著書に『教育委員会廃止論』(弘文堂)、『地方自立 自立へのシナリオ』〔監修〕(東洋経済新報社)、『自治体再生への挑戦~「健全化」への処方箋~』(ぎょうせい)、『シティマネージャー制度論~市町村長を廃止する~』(埼玉新聞社)、『Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ』(朝日新聞出版)などがある。

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