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勝者が藤井聡太棋王への挑戦権獲得! 12月26日、棋王戦挑決二番勝負第2局・広瀬章人九段-伊藤匠七段

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月26日。東京・将棋会館において第49期棋王戦コナミグループ杯・挑戦者決定二番勝負第2局、広瀬章人九段(36歳)-伊藤匠七段(21歳)戦がおこなわれます。棋譜は公式ページをご覧ください。

 広瀬九段はトーナメントで勝者組からの挑決進出。伊藤七段は敗者復活戦を勝ち上がってきました。

 挑決第1局は千日手指し直しの末、伊藤七段の勝ち。その結果、第2局の勝者が藤井聡太棋王(21歳)への挑戦権を獲得することになりました。

 第2局の先後は改めて振り駒がおこなわれます。

 両者の通算対戦成績は広瀬1勝、伊藤2勝(1千日手)です。

 今年度成績は、広瀬九段は13勝15敗(勝率0.464)です。

 伊藤七段は38勝11敗(勝率0.776)。現在、対局数、勝数で全棋士中トップに立っています。棋王戦準決勝で広瀬九段に敗れてからは現在8連勝中です。 

過去の二番勝負結果

 棋王戦は将棋界のタイトル戦で唯一、敗者復活という制度が設けられているのが特徴です。これにより、数々のドラマが生まれてきました。

 1991年度(第17期)まではベスト8以上から敗者復活戦がおこなわれ、挑戦者決定戦は一番勝負でした。しかし、勝者組から勝ち上がった側が最後に1回負けて敗退となるのはどうなのかという声もあって、制度が改められます。

 1992年度(第18期)からはベスト4以上から敗者復活戦がおこなわれ、挑戦者決定戦は二番勝負となりました。ベスト4以上は2敗失格の形式。挑決では勝者組の側に1勝のアドバンテージが与えられています。

 勝者組の側から見ると、二番勝負は1勝0敗(挑戦)、1勝1敗(挑戦)、0勝2敗(敗退)の3パターンがあります。過去31回の内訳を見ると、それぞれ11回、9回、11回です。

 前期、藤井竜王(五冠)は準決勝で佐藤天彦九段に敗れたものの、敗者復活戦から挑決に勝ち上がり、佐藤九段に2連勝して挑戦権を獲得しています。

 なお、挑決第2局は改めて振り駒がおこなわれるのは、将棋界に相当詳しい方でも、ちょっとうっかりしそうなところです。

藤井八冠の一角を崩すのは誰か?

 藤井現棋王(八冠)は現在、将棋界のタイトルを独占しています。誰がその一角を崩すのかが、現在の将棋界の注目ポイントの一つです。

 広瀬九段、伊藤七段、どちらが勝ち上がっても、熱い五番勝負となりそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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