暗号資産の業者が撤退。口座の残高はどうなる?
ビットコインなど暗号資産の業者が「撤退」する際には、口座から残高を引き出しておく必要があります。
しかし、筆者はうっかり口座に残したままにしてしまい、取り戻すのに少し面倒な手続きが必要になるという体験をしました。
法務局からのお手紙
暗号資産業者の最近の撤退事例としては、1月31日に「Kraken」が日本から2度目の撤退。米国の大手業者である「Coinbase」も1月に取引停止を発表しています。
こうした場合でも、暗号資産は「送金」することができるので、決められた期間内に他の業者などの口座に残高を移しておけば、大きな問題はありません。
しかし、口座に暗号資産が残ったままになっていると少し厄介なことになります。Krakenからは以下のような説明がありました。
「供託」というと、選挙に立候補するときにお金を預ける程度のイメージはあったものの、正直なところ、詳しくは理解していませんでした。
そんなある日、「東京法務局」からお手紙が届きました。見慣れない文書から、何かまずいことをやらかしてしまったのかと戸惑ったのですが、よく読むとお金を受け取れるというお知らせでした。
Krakenからの案内に従って、筆者は期限内にすべての暗号資産を引き出したつもりになっていたのですが、まだ残っていたものがあったのです。
気になる人向けに詳細を説明すると、Krakenではイーサリアムの「ステーキング」を利用していました。一般に、暗号資産は持っていても利息は発生しませんが、ステーキングでは利息のような報酬をもらえます。
イーサリアムのステーキングを解除できるようになったのは、4月の「Shanghai」アップデート後です。そのタイミングで筆者は他の業者の口座に残高を移しました。
しかしステーキングでは、2022年の「The Merge」で誕生した「イーサリアム2.0」だけでなく、「イーサリアム1.0」にも報酬がついていました。この報酬が気付かないうちに口座に貯まっていたようです。
Krakenを運営するPayward Asia株式会社は、予告した期日になっても口座に暗号資産が残っていたので、法律に基づいて日本円に交換し、法務局に供託したというわけです。金額は3729円という何とも微妙な額でした。
供託金の受け取り 郵送か窓口か
実際に供託金を受け取る手続きをしてみました。東京法務局によれば、郵送または窓口(九段下)の2通りがあるそうです。
すでに印鑑登録をしていて「印鑑登録証明書」を取れる人なら郵送が簡単そうです。マイナンバーカードを利用した「コンビニ交付」なら、手数料200円で取得できます。
こうした手続きでネット銀行は不可という場合もありますが、「国庫金の振込先」として対応していれば問題なさそうだったので、楽天銀行を指定したところOK。郵送から約2週間でお金が振り込まれました。
供託にはオンライン申請の仕組みもあるようですが、今回のような払渡請求には専用のソフトウェアが必要となっており、基本的には定期的に手続きをする人向けという印象です。
供託という仕組み自体、少額のお金の取り扱いはあまり想定していないのかもしれませんが、結局のところ必要なのは個人と国の間でお金をやりとりするための本人確認です。
そうであれば、スマホとマイナンバーカードを使って簡単に申請できる方法があっても良いのではないかと思うところです。