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大谷、大捜査線~ユニコーンはどこにいる?~日米加メディアの情報錯乱騒動を振り返る #専門家のまとめ

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
日米加のメディアを大混乱させた大谷翔平(写真:三尾圭/USA Today)

 フリーエージェントとなり、その行き先が注目される大谷翔平。
 12月8日(日本時間9日)には、トロント・ブルージェイズ入りが濃厚との噂が飛び交い、大谷が専用機でトロントに向かったとの報道されたが、複数の別の記者から大谷は南カリフォルニアの自宅にいるとの報道が出た。日本、アメリカ、カナダ3国のテレビ局や新聞社などのメディア、そしてファンまで巻き込んだ大騒動となったが、期待されたビッグニュースはなにも報じられなかった。

 現地8日にどのような報道があったのかを振り返ってみる。

▼発端はMLBネットワークのモロシ記者のレポート

大谷翔平の決断は目前に迫っている(MLBネットワーク)
「今日は歴史的な日になるかもしれない。大谷翔平の決断は目前に迫っている。早ければ、今日決める」とMLBネットワークのジョン・モロシ記者がレポート。MLBネットワークは、MLBが過半数以上の株を持つMLB専門テレビ局であり、その情報は信頼性が高い。モロシ記者は「どこのチームになるかはまだ分かってないが、ここ数日の間にブルージェイズが急浮上している」と付け加えた。

▼ジェイズ・ファンの航空マニアがアナハイムからトロント行きの専用機の存在を発見

朝9時発のアナハイムからトロント行きの専用機を発見(JB)
「(現地8日)午前9時発のアナハイム(近郊のジョン・ウェイン空港)からトロント行きのプライベート・ジェットが突然出てきた」と#Ohtaniと#BlueJaysのハッシュタグを付けてXで呟いた。
 投稿者本人もこの専用機に大谷が乗る確証はなく、ただの偶然かもしれないと追加で呟いている。

 「大谷を乗せたかも、乗せてないかもしれないプライベート・ジェットがサンタアナ(ジョン・ウェイン空港)を出発して、トロントに向かっている」と呟いたトロントのスポーツキャスターがMLBネットワークにゲスト出演。このキャスターは、これが初のMLBネットワーク出演だった。

▼モロシ記者が「大谷はトロントに向かっている」と報道

大谷はトロントに向かっている最中だ(ジョン・モロシ記者)
カリフォルニア時間の午後1時過ぎに、モロシ記者が「大谷翔平はトロントに向かっている最中だ。代理人事務所のCAAに大谷の旅程を尋ねたが、ノーコメントだった。現時点では、まだ大谷はどの球団とも契約していない」とXに投稿。

▼複数の大物記者がモロシ記者の報道を否定

大谷はトロントではなく南カリフォルニアの自宅にいる(ボブ・ナイチンゲール記者)
筆者と同じUSAトゥディに所属するベテラン大物記者のボブ・ナイチンゲール氏が、「大谷翔平はトロントにはいない。大谷翔平はトロント行きの飛行機にも乗っていない。大谷翔平は南カリフォルニアの自宅にいる」と反論。ニューヨーク・ポスト紙のジョン・ヘイマン記者やオレンジ・カウンティ・レジスター紙でエンゼルス番を務め、大谷に関する本も執筆したジェフ・フレッチャー記者など多くの記者が大谷は南カリフォルニアにいると報じた。

▼コンビニ大好きカナダ人記者がトロントに到着した専用機を取材

 東京五輪で日本を訪れて、日本のコンビニの虜となり日本でも有名になったCBCのデビン・ハーロウ記者が、大谷が乗っているかもと話題になったプライベート・チャーター便がトロント空港に到着したところを直撃取材。
 飛行機には大谷は乗っておらず、カナダ人ビジネスマンのロバート・ハージャベック氏が乗っていた。そのハージャベック氏は、自身のSNSに「ブルージェイズと契約した!」とのジョークを投稿。

▼選手会公認アパレル会社が専用機パロディTシャツを緊急販売

 MLB選手会公認アパレル会社の『RotoWear』が1万5000人以上が追跡したサンタアナからトロントのチャータージェット便をモチーフにしたパロディTシャツを緊急販売。騒動当日に販売するというスピード感に、アメリカ人のジョークに対する熱意が感じられる。

 当初はウインターミーティングが終わるまでには大谷の去就が発表されると思われていたが、現地7日にウインターミーティングは終わったが、大谷の動きは謎に包まれたままである。
 このまま急浮上したブルージェイズと契約するのか、当初から大本命と言われるロサンゼルス・ドジャースに決めるのか、エンゼルスと再契約するのか、それとも予想外のチームを選ぶのか?
 大谷側がなにも情報を出さず、球団側も口を閉じているだけに、正確な情報を掴むのが難しく、今回のような「大山鳴動して鼠一匹」的な騒動が生まれてきてしまう。果たして、『ネズミ』はキーワードとなるのだろうか?

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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