打率.228のヌートバーはWBCジャパンのメンバーにふさわしいのか
1月26日、WBCジャパンのロースターが発表された。そのなかには、かねてから報じられていたとおり、ラーズ・ヌートバー(セントルイス・カーディナルス)の名前がある。
ヌートバーは、25歳の外野手だ。WBCに出場後、メジャーリーグ3年目を迎える。母親が日本人なので、日本チームのメンバーとなる資格を持っている。
ただ、これまでの2シーズンとも、打率は低かった。2021年は58試合で打率.239、2022年は108試合で打率.228だ。メジャーリーガーとはいえ、WBCのメンバーにはふさわしくないと思う人もいるかもしれない。
日本チームのロースターに入っている野手のうち、昨年、メジャーリーグあるいは日本プロ野球で記録した打率がヌートバーより低かったのは――リーグが違うので乱暴な比較ではあるものの――.180の甲斐拓也(福岡ソフトバンク・ホークス)だけだ。この2人と打率.243の山田哲人(東京ヤクルト・スワローズ)を除く、13人の打率は、いずれも.250を超えている。
けれども、昨年、ヌートバーは出塁率.340を記録した。こちらは、16人のなかで上から7番目だ。四球率14.7%は4番目に高く、19.3%の村上宗隆(東京ヤクルト)、16.7%の近藤健介(当時・北海道日本ハム・ファイターズ/現・福岡ソフトバンク)、15.7%の吉田正尚(当時・オリックス・バファローズ/現ボストン・レッドソックス)に次ぐ。
塁に出るという点に限れば、安打と四球に差はない。安打には長打が含まれていて、単打の場合でも、一塁走者が三塁まで進んだり、二塁走者がホームインしたりすることもあるが、安打÷打数の打率は、それらを示してはいない。
また、ヌートバーは、ある程度のパワーも備える。昨年の14本塁打は、鈴木誠也(シカゴ・カブス)と並び、上から数えても下から数えても8番目だ。しかも、ヌートバーの打数は、鈴木より107も少ない。鈴木のホームランが28.4打数に1本のペースであるのに対し、ヌートバーは20.7打数に1本だ。20.4打数/本の山田と21.2打数/本の牧秀悟(横浜DeNAベイスターズ)の間、7番目に位置する。
守備も悪くなく、肩は強い。ポジションはライトがメインだが、センターも守れる。
無形の要素を含めなくても、ヌートバーのロースター入りは、おかしなことではない。