どら焼き&おせんべいのいいとこ取り?「どらせん」は100年続く専門店の伝統とユーモアの甘い結晶
いいとこ取り。複数の対象物の長所となるポイントからだけをかいつまむことですね。雑誌などのメディアでもこういった文句が使用されていると、ついつい惹かれてしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
大正12年創業、今年2023年に創業100年を迎えた「鈴木屋」さん。岡山県岡山市にて、小麦粉や牛乳、卵を使用したお煎餅をつくっていらっしゃる老舗のおせんべい屋さんです。お煎餅といいましても、うるち米を使用したものではなく、どちらかというと味わい的にはカステラのような甘いお菓子。現在は素朴なおやつとして世代問わず愛されていますが、100年前ですと滋養強壮に優れた栄養価の高いお菓子、という位置づけだったのではないかと推量。
そんな鈴木屋さんの人気商品の中には、まさにいいとこ取りな銘菓が。今回は「どらせん」の柚子味をご紹介。
どらやき…せんべい…ネーミングはそのままなのに、なんでしょうこの不思議な食感は。味わいは確かにたまご煎餅特有の、コクとまろやかさが共存する濃厚な風味。さらにはちみつが加わることにより、どら焼きの皮のようなカステラのような要素も加わり、より豊かな存在に。
とはいえ、そこはやはりお煎餅屋さん。ほろりとした食感はたまごせんべいの面影を残し、どら焼きやカステラの皮が凝縮されたような完成度。それ故か甘味も質感も強かな白餡なのですが、柚子が加わることにより調和のとれたバランスのうえに成り立っています。
余談ではありますが、両面に刻印されている唐草模様。個人的にこちらの唐草模様も珍しいと思い手に取った理由のひとつなのですが、鈴木屋さんの公式サイトによれば「豊穣なる力の象徴(公式サイトより引用)」なのだとか。確かに、唐草模様は草木の強かさや柔らかさなど、植物の「いいところ」を集めた印象を受けるような気がします。
不思議だね~なんか面白いね~なんて話ながら食べ進めていたら、あっという間に完食。たまごせんべい、どら焼き、そして白餡いずれもが長い歴史の中で毎日のおやつとして日常の傍らに存在する和菓子。そのお菓子と共に、親子で長閑なおやつの時間を楽しむことができました。