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元WBAスーパーライト級チャンピオンのカムバック

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 2022年5月28日にジャーボンテイ・デービスに6回KO負けするまで、ローランド・ロメロは、戦績14戦全勝12KOの新星だった。しかし、デービス戦で壊れた感が否めない。バランスが悪く、反射神経にも問題が見られる。

Amanda Westcott/SHOWTIME
Amanda Westcott/SHOWTIME

 デービス戦から1年後、ロメロはWBAスーパーライト級空位王座決定戦に出場し、第9ラウンド2分41秒にイズマエル・バローゾをストップして新チャンピオンとなった。とはいえ、3ラウンドにバローゾの左ストレートを喰らってダウンしている。8ラウンドまでの採点も75-76、74-77、73-78と40歳のバローゾにリードを許していた。

Esther Lin/Premier Boxing Champions
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 そして、今年3月の初防衛戦でイサック・“ピットブル”・クルスを迎え、第8ラウンドに右の打ち下ろし、左ボディからの連打を浴びてKOされた。

 7月7日に両国国技館で催されたWBA/IBFスーパーフライ級タイトル統一戦を観戦するために来日し、笑顔を振りまいていたが、リングパフォーマンスを見る限り、ダメージは深刻だ。

Esther Lin/Premier Boxing Champions
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 無冠となったロメロは9月14日に、マニュエル・ジャイメスとの復帰戦が決まった。WBA/WBC/WBOスーパーミドル級タイトルマッチ、サウル・”カネロ”・アルバレスvs.エドガー・ベルランガの前座である。試合決定発表となる記者会見で、ロメロは言った。

 「大きな光を見ると、多くの人間は怯んでしまう。ジャイメスはパンチャーなので、我がチームは彼に備え、この大事な一戦にどう対処するかを考え、準備しなければならない。

 9月14日は再び『ローリー・ショー』が催される。見逃さないでくれよな。また皆さんに素晴らしいファイトを披露する。リングに戻るのが楽しみだ」

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 16勝(11KO)1敗1分けの24歳、ジャイメスも話した。

 「自分が無名だってことは理解しています。ずっと羨望の眼差しを送ってきた選手たちと一緒の興行に出られるなんて、本当に光栄です。ですが、ロメロがとてつもなく大きな相手とは感じていません。目の前にいるのはタフな対戦相手ですが、我々のチームは勝ちに行きます。

 ロメロは僕よりも大舞台を経験していますが、こちらも8歳からボクシングをやってきました。今、ロベルト・ガルシアのジムで、多くのスパーリングをこなしています。ロメロ陣営と我々のボクシングIQに差は無いでしょう。この試合をモノにしますし、勝てると分かっています。

 幼い頃から、メキシコ独立記念日近くの週末に行われるビッグマッチを見ていました。そのPPVイベントに自分が出場できるなんて、まさしく夢が叶いますよ。ロメロが僕を見下しているなら、完璧な状況と言えますね。準備万端でリングに上がります」

Esther Lin/Premier Boxing Champions
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 ロメロの状態が気になる。ジャイメスの一発が入ったら、簡単に倒れるように筆者は感じる…。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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