YouTube TV スタートで、テレビのモバイル化が完了
YouTubeは4月5日より、「YouTube TV」を米国で開始しました。このサービスは、普段のYouTubeアカウント(つまりGoogleアカウント)を使って、月額35ドルで、50以上のチャンネルの視聴と録画が可能になるサービスです。
放送業界としては大きな変革の到来との受け止められ方が大勢を占めている一方で、ターゲットとなる若年層にとって、どんな反応が得られるかに注目が集まっています。
YouTube TVは、1ヶ月無料で使い始めることができますが、2ヶ月目が終了して契約が続いていれば、35ドル相当のChromecastが贈られてきます。このデバイスをテレビに繋げば、YouTube TVをテレビで楽しむ事ができます。もし、テレビが家にあれば、の話ですが。
なぜ、画期的なのか?
YouTube TVは、米国で暮らしている私からしても、「画期的」だと思いました。ケーブルテレビの契約に縛られず、チャンネルを見ることができるようになるからです。
米国では一般的に、ケーブルテレビ会社に契約しなければ、前述の50ものチャンネルの多くを視聴する方法がありませんでした。
例えばあるスポーツチャンネルがApple TV向けにライブ放送が見られるアプリを用意していたとしても、そのチャンネルに直接お金を払う方法がなく、ケーブルテレビに契約したり、スポーツパックに入らなければなりませんでした。
ケーブルテレビアカウントを使ってログインしなければ、ネットストリーミングのライブ放送を見ることができない。そんな縛りが存在していた世界です。
これが、35ドルで、どんなモバイルデバイスでも、テレビでも、ライブ放送から録画までが見られるようになったのですから、「画期的」と思うわけです。
現在私のComcast(ケーブルテレビ会社)の契約は、インターネット接続だけです。20ドルほど足せばベーシックチャンネルも見られるのですが、昨年外してしまいました。
なので35ドルだからと言ってYouTube TVに入るかどうかは慎重ではあります。というのも、おそらくComcastも、ネットの価格とケーブルチャンネルを束ねて、YouTube TVに対抗できる価格のプランを打ち出してきそうだからです。
Facebook、Twitter、Appleも、ライブへ動く
Facebookは、ライブ放送をニュースフィードで見られるようにしました。Twitterは選挙やスポーツなどの中継をしながらツイートするスタイルを1つのアプリ内で行えるように整備しています。まあ、ニコニコ動画なわけですが。
Appleは、どちらかというと放送業界っぽいやり方で、Apple TVに対して有料チャンネルをストリーミングするアプリを奨励し、また複数チャンネルを一挙に契約できるバンドルを用意しようとしています。あるいはYouTube TVと同じような価格のサービスを出してくるかもしれません。
これらの企業に共通している点は、デバイスとしてのテレビを、必ずしも主とはしていないということです。スマートフォン、タブレット、パソコンといったデバイスの体験を基本に組み立てながら、テレビも対象にする、というスタンスの変化。
しかし広告業界も変化しています。こうしたマルチデバイスでのコンテンツ視聴をトラックできるようにする仕組みは、Adobeなどがすでに整えています。広告の計測ができるなら、デバイスの多様化に対して、さほど怖くないと考え、素早い移行も進むかもしれません。