日本人母が我が子を斬首、惨殺か。「殺せと声が聞こえた」と証言も容疑を否認 ... 米アリゾナ怪奇事件
米アリゾナ州テンピ市警察は先月16日、自身の2人の子を殺害した容疑で、同地に住む日本人女性を2件の第1級殺人罪で訴追した。この事件は当初、全米規模で報じられていなかったが、今月5日付のニューヨーク日本語地元紙が報じ、日系社会にも大きなショックを与えている。
AP通信やFOX10フェニックスなどによると、ユイ・イノウエ(Yui Inoue)被告(40)は先月15日午前7時ごろ自ら車を運転し警察署に行き、「自分の子を殺せという声が聞こえた」と言ったとされる。警察がフェニックス市郊外にある被告の自宅に駆けつけたところ、毛布などがかけられた長女(9)と長男(7)の遺体が見つかった。
2人の遺体は切断され、頭部については「ほぼ斬首された状態」だったという。2人の手の平には抵抗の跡が見られた。
17日の罪状認否で、日本語の通訳を介してその詳細が読まれた。手錠をかけられた状態のイノウエ被告が台に向かってうなだれる様子が、動画でも公開されている。
「私たちもただの人間です。特にキャリアの浅い警官や救急隊員には見るに耐え難く、我々にとって大きなトラウマになっている」と、テンピ市警察に24年間勤務する警官は、記者会見で語った。これまで凄惨な現場を何度も目にする機会があったが、その中でももっとも酷いと呼べるような凄惨な光景だったようだ。
イノウエ被告の警察への証言や起訴状によると、被告は子どもたちと一緒に寝た後、15日午前4時半ごろ目が覚めると辺り一帯が血の海で、子どもたちが寝室のドア近くで死んでいるのを発見。被告自身の手や腕にも血が付いていたが「自分が殺したとは思わないが、記憶がない」と警察に話した。被告は風呂に入り、警察署に出頭していた。
逮捕された際、被告のかかとに血痕が見つかり、指に切り傷、手と膝に打撲傷があった。また被告の車の中から、6インチ(約15センチ)の肉切り包丁、血痕の付いた衣類やスーツケースなどが見つかった。また近隣住民は午前4時半ごろ、ドンドンという音や子どもの悲鳴を聞いている。
しかし罪状認否では、イノウエ被告が日本語で「すいません、殺人してないです」とはっきり答え、殺害容疑を否認した。続けて「あと、あの...弁護士...」と言おうとすると、コミッショナー(調停委員)に「待って、待って」と発言を遮られ、「あなたはこれから、任命された弁護士の電話番号を渡されるので、このケースに関しては弁護士だけにお話しください」と言われ、通訳がそれを訳すとイノウエ被告は「はい、わかりました」と日本語で答えている。(日本語の通訳が法廷でのやりとりに不慣れなようで、「第1級殺人罪」を「1度の殺人」と訳すシーンも見られた)
法廷記録では、イノウエ被告は過去に息子をハサミで刺したとして告発されるなど家庭内暴力やメンタルヘルスの問題があり、誘拐の容疑がかけられていた。3月2日、イノウエ容疑者が長男を連れ去ったとの通報を受け、誘拐容疑で捜査が開始。その後コンビニの側で容疑者と長男が見つかり、長男は父親に引き渡され、容疑者は精神科病院に入れられた。ただし虐待や育児放棄の形跡がなかったため、容疑については未解決のままだった。
夫婦は4月に離婚申請をしたが、その後も同じアパートで同居していた。被告は家族がいる日本への帰国を希望し、その引越し費用などで事件前夜に夫と言い争いとなったようだ。被告が刃物で夫を脅したため、911コールで警察がアパートに駆けつけていた。夫は深夜0時30分ごろに家を出て、駐車場で一夜を明かしたという。事件後、夫は妻が子に危害を加えるのは考えにくいと警察に話した。
さらに報道によると、イノウエ被告は中国生まれだがアメリカに移住する前は日本に住んでおり、検察官は「被告は日本と中国に関係がある」と説明。国外逃亡しないようにパスポートが没収され、保釈金は200万ドル(約2億円)と発表された。
Sources:
Arizona mom denies killing 2 children with meat cleaver
DCS says it was investigating Tempe mom accused of killing her two children
'I did not kill anybody': In court, mother denies killing her 2 kids at Tempe apartment
DCS was investigating Tempe mother before she was suspected of killing her 2 children
(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止