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森保Jポジション別に見る強みと弱み

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

 せっかく予選を突破したのだから、重箱の隅を突くような真似は慎めと言うお叱りの声がどこからともなく聞こえてくるが、それでもやはり一言いいたくなる。先のオーストラリア戦の森保采配についてだ。

 選手交代は、この試合でも4人しか行われなかった。

 後半44分。山根視来の折り返しを三笘薫が流し込んだ瞬間、日本のW杯本大会出場は決定的となった。追加タイムは4分。そこからでも5枚目の交代カードを切ることは可能だった。もちろん、三笘が先制点を奪う前にも、その時間は十分にあった。本大会出場は、この試合を0-0で終えても、最後のベトナムとのホーム戦に敗れない限り、確実になっていた。何かを試す余地がないほど、切羽詰まっていたわけではない。

 W杯本大会でベスト8以上を狙うなら試合数は5だ。選手交代5人制の下で、同等あるいは格上を相手に最低5試合戦おうとすれば、格下との対戦がメインとなるアジア予選時から、選手をできるだけ多く使い、あらゆる可能性を探りながら戦っておく必要がある。予選段階から本大会を想定して準備を進めなければ、自己最高位に到達することはできない。

 現在の森保采配にはそうした姿勢が見て取れない。実際には選手を変え、可能性を探る余裕はあったはずなのに、敗戦を過度に恐れる慎重すぎる姿勢が、自らの采配を萎縮させている。アジア予選の泥沼に自らはまり込んでいるようにさえ見える。

 これまでの最終予選9試合、交代のチャンスは計45回あった。森保監督はにもかかわらず、38回しか消化しなかった。オーストラリア戦で2ゴールをマークした三笘も、出場したのは後半39分という押し詰まった時間だ。少しでも逆境になると、動けなくなる。固まってしまう。そうした森保監督像が露呈した例と言ってもいい。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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