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エンジェルスの「先発全員安打」。達成となるヒットを打った大谷翔平を除く8人はいずれも2安打以上

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(左)とブランドン・マーシュ Aug 24, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月24日、ロサンゼルス・エンジェルスは、14対8で勝利を収めた。19安打と14得点は、どちらも今シーズンのチーム最多。それまでは、16安打(4月26日、6月5日、8月19日)と13得点(8月19日)が最も多かった。

 また、先発出場した野手9人は、全員がヒットを打った。こちらは、見落としがなければ、4月23日以来。今シーズン2度目だ。

 最初の4月23日は、10回表にアルバート・プーホルス(現ロサンゼルス・ドジャース)がシングル・ヒットを打ち、先発全員安打となった。プーホルスのヒットにより、リードを2点に広げたが、試合は10回裏にサヨナラ負けを喫した。2度目の今回は、大谷翔平がラスト。8回表にシングル・ヒットを打った。1番の大谷と2番のデビッド・フレッチャーを除く7人は、5回表が終わるまでに、それぞれ2安打を記録した。フレッチャーも、4回表と8回表にシングル・ヒットを打ったので、大谷以外の8人は2安打以上だ。なかでも、7番のブランドン・マーシュは、初の1試合4安打(5安打以上はまだない)。7月18日にデビューし、この日は出場36試合目。先発出場に限ると、32試合目だった。

 もっとも、大谷は、安打こそ他の8人より少なかったものの、打席に6度入り、3度出塁した。3回表(3打席目)は敬遠四球、6回表(5打席目)は四球を記録した。

 3回表の敬遠四球は、エンジェルスが7点リードの2死二、三塁。これだけ点差がついている場面で歩かされるのは異例だが、相手のボルティモア・オリオールズは18連敗中だった。異例という点では、こちらのほうが上だ。どれだけリードされていようとも、あきらめるわけにはいかない。オリオールズの攻撃は、まだ7イニングも残っている。そこで、これ以上の失点を防ぐため、大谷ではなくフレッチャーと勝負することにしたのだろう。フレッチャーは、二塁ライナーに終わった。

 しかも、エンジェルスの投手陣は、ご存じのとおり、盤石とは程遠い。その後、オリオールズは7点を挙げた。その間にさらなる失点があり、追いつくことはできなかったが、3回表が終わった時点のスコアのままで7点を挙げていれば、同点だった。

 エンジェルスのジョー・マッドン監督は、8回裏の2死一塁から、クローザーのライセル・イグレシアスを起用した。8月18日を最後に登板していなかった――中5日の登板となった――とはいえ、6点もリードしていながら、クローザーにイニングをまたいで投げさせるのも、異例な気がする。登板間隔が空きすぎるの避けるためだけであれば、9回裏の1イニングでいいはずだ。

 この黒星により、オリオールズは20連敗にリーチをかけた。次の試合は、大谷がマウンドに上がる。それについては、こちらで書いた。

「18連敗中のオリオールズは、次の試合に負けると「20連敗」が確定!? 次の次に対する投手は…大谷翔平」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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