「エゴグラムでACの高い(従順)な人は、どうしたらいいのか?」について、公認心理師が解説いたします。
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日のテーマは、「エゴグラムにおけるACの高い人について」です。
まず、はじめに。
エゴグラムとは、交流分析という心理療法で使われる、性格分析・性格診断のことです。簡単お手軽に出来る割には、信頼性がなかなかに高く、ネット上にも落ちていますし、メンタルクリニックでも使われることがあります。
たった今、私は、「信頼性が高く」と言いましたが、欠点として挙げられるのは、あくまでも自己申告に拠るものなので、自分のことを「心優しい人」と考えている人は「優しい性格の人」と判定されやすいですし、自分のことを「心冷たい人」と考えている人は、冷たい性格の人と判定されやすい…という点があります。
よって、この性格分析テストは、参考程度に考えたほうが宜しいかと思います。
また、自分でテストするよりは、他者から、特に心理カウンセラーから、テストしてもらったほうが正確な結果が出やすい…という特徴があります。
というのは、自分1人でテストすると、この問いには時間をかけて考えて答え、この問いには時間をかけずに考えて答える…という、問いによって考慮時間のバラツキが生じ、正確な結果が出にくくなるからです。
私も、自分のカウンセリングルームやセミナー会場で、このエゴグラムテストを用いることがあります。それは、目の前のいるクライアントや受講生の性格を、より深く正しく理解するためです。
で、今日のタイトルの、ACが高い人のACですが、これはアダルトチャイルドの略ではなく、アドプティッド・チャイルドの略です。日本語で言うと、順応した子ども、従順な子どもという意味です。
ACが高い人は、協調性が高く、空気を読む力があり、指示通りに行動することが出来ます。また、自己犠牲の精神が強く、集団の和を乱さないよう行動することが得意です。
ACが高い人は、生まれつきであることが多いです。
私の印象では、ACが高い低いの半分ぐらいは、生まれつき決まっているのではないかなあ…と思っています。特に、キャラ診断に拠るところの調和タイプである、おばあさんタイプ、二男タイプ、二女タイプは、ACが高くなる傾向が強いです。また、長女タイプや末っ子タイプは、人と争うことが大嫌いなので、内心は嫌々ながらも、周りに合わせることが多く、ACが高くなる傾向が強いです。
たった今、私は、「半分ぐらいは生まれつき決まっている」と言ったのですが、残りの半分ぐらいは、育てられ方や、本人の周囲を取り巻く環境で決まります。
たとえば、しつけの厳しい両親に育てられた人は、自分の身を守るためには、両親の言いつけに従うより他なく、自然に、従順な子となり、ACの高い人となっていきます。
また逆に、しつけの厳しくない両親に育てられた子は、自由にのびのびと育ち、ACの低い人になることが多いです。
もっとも、厳しい両親に育てられたとしても、それに反発する子となり、逆にACが低い大人になることもあります。それを心理学用語では、反動形成と言います。
ACが高い人というのは、場の空気を読み、周りに合わせることが出来る人なので、決して悪いことではなく、むしろ社会から歓迎される人となることが多いのですが、ACが高すぎる本人としては、苦しくなることが多いです。
何故かと言いますと、ACが高すぎる人は、周囲の人に気を使い過ぎてしまう傾向が強いので、それがストレスとなり、うつ病や不安障害など、心の病に陥る可能性が高くなってしまうからです。また、周囲に合わせすぎるため、自分自身を失い、自分の意見が持てず、人の意見に依存してしまう傾向も強くなるからです。
よって、ACの低すぎる人は問題ですが、ACの高すぎる人も問題です。
次に、
ACが高すぎる人が、ACを下げる方法ですが、実は、ACを下げるのは、ACを上げるより難しい…と言われています。よって、ACの高すぎる人は、まずはそんな自分に気付き、そんな自分を受け入れ、積極的に自分を出すよう心掛けることが大切です。
心構えとしては、「人は人、自分は自分。人に好かれようが嫌われようが、そんなことで俺の価値が決まってたまるか!」という開き直りの精神を持つことが大切です。
具体的には、人の顔色を気にしないようにする。人に何か頼みごとをされた時、嫌だったら、ハッキリ爽やかに「ノー」と言ってみる。そして、意見を言う場面では、自分の考えをしっかり伝える…等です。
私(竹内成彦)は、若い頃は、ACが高く、びくびくオドオドすることが多かったのですが、今は、「人からどう見られてもいいや」「人からどう思われてもいいや」という気持ちが強くなり、ACが平均値ぐらいまで下がってきました。
ACが高い人は、周囲に気を配ることが出来る優しい人であることが多いです。
ACが高い人は、そんな自分自身を大切にしながらも、自分を見失うことなく、自分らしく、力強く、幸せに生きていってください。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。