アベノマスクに対するツイッター上の意見はどう変化したか
アベノマスク再び
7月末に,アベノマスクを8000万枚配布すると話が出た後,さらにそれが中止になったことで話題となりました.
もともと賛否両論あったアベノマスクですが,4月から7月でどのようにその反応は変化したのでしょうか.
まず,4月から7月の間にアベノマスクについてどのくらいのツイートがあったのかを調べてみましょう.
こちらが,アベノマスクを含んだツイートの一日ごとのツイート数です.
アベノマスク配布が決まってから配布が終わるくらいまで話題は続き,おおむね配布が終わった6月以降はあまりツイートはありませんでしたが,再配布の話が出てきた7月末に再び話題が多くなっていることが分かります.
アベノマスクに関するツイート群の分類
次に,4月と7月でそれぞれどのようなツイートがあったのかを見てみましょう.
ユーザベースのクラスタリング手法を使って4月のアベノマスク関連のリツイートの多かった200ツイートを分類すると,アベノマスクを支持する56ツイートと支持しない129ツイートに分類できました.
図中の青円内が支持ツイート群,オレンジ円内が不支持ツイート群です.
支持するツイートには,
をはじめとして,マスク不足に効果があることや,マスクが小さくない,汚れていないといったツイートが多く含まれていました.
一方,不支持のツイートには,
のようなツイートがありました.税金の使い方としての問題点の指摘や,汚れが目立つというツイートが多く含まれていました.
次に,7月のリツイートの多かった200ツイートを分類すると,支持する14ツイートと不支持の119ツイートが抽出できました.
図中の青円内が支持ツイート群,オレンジ円内が不支持ツイート群です.
支持するツイート群には,
などマスクを使っていることや,アベノマスク配布を批判している人を批判するツイートが含まれていました.
不支持のツイート群には,
など,アベノマスク不要論や安倍総理への批判が多数含まれていました.
支持派・不支持派アカウントの変化
支持派と不支持派にはどのくらいのアカウントがいたのか調べてみましょう.
ここでは,支持するツイートのみをリツイートしたアカウントを支持アカウント,
不支持のツイートのみをリツイートしたアカウントを不支持アカウントと考え,4月と7月での変化を見てみましょう.
まず,4月の段階では,支持アカウント(支持するツイートのみをリツイートしたアカウント)は,110,403アカウントありました.
不支持アカウント(不支持のツイートのみをリツイートしたアカウント)は,102,370アカウントありました.
4月の時点では支持アカウントの数の方が若干多かったということが分かります.
一方,7月には,支持アカウント(支持するツイートのみをリツイートしたアカウント)は,4,444アカウントあり,不支持アカウント(不支持のツイートのみをリツイートしたアカウント)は,42,363アカウントでした.
7月の段階では圧倒的に不支持アカウントが支持アカウントよりも多くなっていることが分かりました.
さらに4月から7月への変化の内訳をみてみましょう.
こちらの図は,4月の支持・不支持アカウントが7月にどうなったかを示した図です.
まず,4月に支持・不支持をしていたアカウントがその後どうなったのかを見てみます.
支持アカウントの3.8%が継続して支持ツイートをリツイートしていて,不支持アカウントのうち25.5%が継続して不支持ツイートをリツイートしています.
ここから,4月に支持するツイートをリツイートしていたアカウントのほとんどが,7月にはリツイートしなくなったことが分かります.
次に,意見が変わったアカウントについてみてみましょう.
アベノマスクに関するツイートを継続してツイートをしているアカウントについて,意見が変化した率を見てみます.
まず,4月に支持アカウントだったアカウントについては,2,826アカウントが継続して支持,319アカウントが不支持に変化しています.
次に,4月に不支持アカウントだったアカウントについては,26,143アカウントが継続して不支持,28アカウントが支持に変化しています.
支持アカウントの意見変化率は10.1%であり,不支持アカウントの意見変化率は0.1%でした.
これより,支持アカウントの意見変化率は不支持アカウントの100倍だったといえます.もともと支持していたアカウントが不支持に回ったということからも,アベノマスクに対するツイッター上の感情は悪化していたといってよいのではないでしょうか.
まとめ
以上の結果より,ツイッター上では,
・4月の段階ではアベノマスク支持アカウントの方が不支持アカウントよりも若干多かった
・7月の段階では不支持アカウントの方が10倍近く存在する
ことが分かりました.
さらに,支持アカウントから不支持アカウントに変化した割合は,不支持から支持に変化した割合に比べて100倍程度あることが分かりました.
どうやら,4月の段階ではほぼ拮抗していたツイッター上のアベノマスク支持・不支持ですが,7月の段階では不支持が圧倒的に多くなっているようです.
この分析から,少なくともツイッター上では,アベノマスク8000万枚は決して支持されたものではなさそうですね.
一方で,介護施設や保育所などでマスクが不足しているかどうかはツイッター上の意見とは関係ないため,本当に不足しているのであればそのことを数値で出して,データに基づいて適切な判断をしてもらいたいものです.今のところマスクが不足しているというデータが出てきていないのが気になるところです.
最近は政府の新型コロナ対策に関して不満不安が多いようで,内閣支持率も下がり気味のようです.
新型コロナの感染者が一日1000人を超える中,政府にはデータに基づいた効果的な対策を実行してもらいたいものです.