高市氏支持者と日本保守党支持者の関係
朝日新聞に「保守」は台頭したのか 高市人気と日本保守党から見えるもの(有料記事)という記事が掲載されました.
この記事の中で,
とあります.コメントプラスにも書きましたが,実は総裁選挙の際の高市氏を応援するX上でのポストを分析した結果,自民党より保守党の公式アカウントをフォローしているアカウントの方が多く存在したことが分かっています.その詳細についてこの記事でフォローしておきます.
分析したのは,2024年8月1日~9月28日までの「高市」を含むポストの10%サンプリングしたものになります.
トータルで704,960ポストあり,オリジナルポストは96,495ありました.また,これらのポストを投稿または拡散したアカウントは153,097でした.10%サンプリングであることを考えると,ポスト数はざっくりこの10倍ほどあったと考えてよいでしょう.
得られたポストを拡散アカウントの類似性に基づいて分類してみると,大きく二つのクラスタが得られ,大きい方が高市氏支持クラスタ,小さい方が反高市氏クラスタです.
トータルの拡散数は高市氏支持クラスタが280,082回,反高市氏クラスタが61,339回でしたので,X上では高市氏の支持の方が多かったことが分かります.
では,高市氏支持アカウントはどのような性質を持っていたのでしょうか.ここでは,どのような政党をフォローしていたのかを確認してみました.ここでは,高市氏支持クラスタに所属するアカウントが各政党の公式アカウントをフォローしている割合を算出しました.その結果がこちらです.
これより,高市氏支持クラスタでは,自民党の公式アカウントをフォローしている割合が20%程度であるのに対して,保守党をフォローしている割合が59%と3倍近くありました.
もちろん,公式アカウントをフォローしているから当該政党を支持しているとは限りませんし,公式アカウントをフォローしていないから当該政党を支持していないとも限りませんが,概ね支持傾向があるという事は言えると考えられます.
その意味からも,X上での高市氏の支持アカウントは保守党支持者の方が多かった可能性が高そうです.
最後に,石破総理のフォロワーと高市氏のフォロワーが,それぞれどの党の公式アカウントを何割程度フォローしているのかを調べてみました.その結果がこちら.
この結果から,石破総理のフォロワーは自民党公式アカウントをフォローしている割合が最も高いのに対して,高市氏のフォロワーは保守党公式アカウントをフォローしている割合が最も高かったことが分かり,ここからも高市氏支持と保守党支持との間には深い関係がありそうなことが分かりました.
なお,だからといって自民党支持者が高市氏を支持していないわけではないことにも注意が必要です.実際,自民党公式アカウントフォロワー全体を見ると,高市氏をフォローしている割合が30.3%で,石破総理をフォローしている18.2%よりも多かったことが分かっています.とはいえ,フォロー関係だけ見ると自民党公式アカウントフォロワーの50.1%は河野太郎氏をフォローしていたので,この辺はあんまり当てにならない数値かもしれません.一度フォローしたらあまり外さないですからね.
というわけで,朝日新聞の記事で高市氏と保守党について書かれていたのを機会に,分析結果をまとめてみました.この結果から,保守党の台頭と高市氏への支持には強い関係がある可能性が高いことが示されました.
朝日新聞の記事によれば自民党が中道化しているそうですが,その中で保守傾向のより強い高市氏と保守党との支持層が一致するというのはある意味当然の結果なのかもしれません.