テレビにも登場した翠江堂さんの「亥の子餅」こし餡たっぷり!ふわとろのお餅がとろける季節の御菓子
お正月には花びら餅、春と秋のお彼岸にはおはぎ、六月には水無月…古来より、日本には無病息災を願いながらその時期その時期の四季を反映した和菓子を食べる習慣があることはご存知かと思います。主に穀物を使用したもの、いわゆる餅菓子が多く見受けられ、そこに「果子」といわれる果物(柿、無花果、木の実など)をあわせることも。
さて、ここ数年SNSやメディアにも取り上げられるようになった11月の歳時記にあわせていただくお菓子が「亥の子餅」。源氏物語や柳田国男の書籍にも登場するこちらの御菓子は、古くは平安時代の宮廷内で食べられていた御菓子でしたが、時代と共により平民の間にもその習慣が広まるようになりました。
毎年「旧暦の10月(新暦では11月)・最初の亥の日・亥の刻」に亥の子餅を食べると、健康でいられるという願いが込められた御菓子。
今回は一年中苺大福を購入できることでも有名な、東京都中央区の人気和菓子店「翠江堂」さんの「亥の子餅」をご紹介。
ぽてっと可愛らしい癒し系なフォルム。多彩な技巧が凝らされた練り切りなどとは異なり、小ぶりでほっこりしてしまうようなただ住まいが可愛らしいですね、まさにうり坊。翠江堂さんのお餅は亥の子餅の特徴でもある黒胡麻のほかに小豆の煮汁をベースに色付けを施したもの。
お餅の食感は、その言葉どおりのふわとろ。ふんわりと軽やかで、とろりと舌先に纏わりつくような滑らかさを持ち合わせています。また、お餅を掌に広げ、あんこを包む前にふっくらと煮上げた大納言小豆を数粒忍ばせて。ややでこぼこした部分の正体は煮小豆だったんですね。表面に三本線の焼き印がついているものもありますが、翠江堂さんの亥の子餅はこちらの凹凸も特徴のひとつでしょうか。
中のあんこはこし餡。断面をご覧いただくとよくわかるかと思うのですが、きめの整ったこし餡がたっぷり!しっかりとあんこらしい甘味が備わったこし餡を思い切り頬張れば、思わず笑顔になってしまうような甘く香ばしいひと時が訪れます。お餅そのものが薄くしゅるりとこし餡と同時に切れるので、口の中で一体となっていくのも非常にスムーズでストレスフリー。
亥の刻は22時前後。澄んだ秋の空を眺めながら、温かいお茶と一緒に甘い夜を過ごしてみてはいかがでしょうか。