天気変化の大きい一週間 冬型の気圧配置から移動性高気圧をへて南岸低気圧が通過
令和3年(2021年)の冬
令和2から3年(2020から2021年)の冬は、前年の暖冬から一変し、寒冬というより厳冬になっています。
日本付近のジェット気流が大きく蛇行し、この蛇行にのって北極付近の強い寒気が、周期的に日本付近へ南下しているからで、これまで3回強い寒気が南下しています。
1回目は12月14日頃から南下したもので、日本海側を中心に記録的な大雪となり、新潟・群馬県境の関越自動車道では、16日夜からの交通障害で2000台以上の車が立ち往生しています。
2回目は年末年始の強い寒気の南下で、西日本にも寒気がおりてきましたので、北日本の日本海側や北陸だけでなく、山陰地方まで大雪となりました。
3回目の強い寒気の南下は、1月7日から8日で、東北の日本海側から北陸地方、西日本の日本海側のみならず、普段は雪の少ない九州でも雪が降りました。
特に、北陸地方では短時間に強い雪が降り、初めて「顕著な大雪に関する気象情報」が発表されました。
この「顕著な大雪に関する気象情報」は、正式運用は平成31年(2019年)11月13日からで、新潟県、富山県、石川県、福井県、山形県、福島県会津地方の6県が対象です。
過去6時間に顕著な降雪が観測され、その後も大雪警報の発表基準を一定量上回ると思われる時に発表されます。
3回目の強い寒気が南下した1月8日は、冬日(最低気温が0度未満)、真冬日(最高気温が0度未満)とも、今冬最多を観測しています(図1)。
冬日は気温を観測している919地点のうち862地点(全体の94パーセント)、真冬日は509地点(55パーセント)にも達しました。
しかし、3回目の強い寒気以降は、本州南岸を低気圧が通過して暖気が少し北上したり、日本海北部を発達した低気圧が通過して春一番が吹いたかのような暖かさとなるなどしたため、冬日、真冬日とも大幅に減少しています。
今週前半は冬型
今週前半は、日本海で低気圧が発達しながら北日本を通過し、西高東低の冬型の気圧配置となり寒気が南下する見込みです(図2)。
東シナ海や日本海西部には、寒気の南下を示す筋状の雲が出現し始めています(タイトル画像参照)。
予想天気図で、北日本では等圧線の間隔が狭くなっていますが、このことは、北日本では強い風が吹き、強い寒気が南下してくることを意味しています。
気象庁では、5日先までに大雪警報を発表する可能性を「高」「中」の2段階で示した早期注意情報を発表しています(図3)。
これによると、1月19日は、暴風警報(暴風雪警報)を発表する可能性は北海道では「高」か「中」、東北地方と北陸地方では「中」となっています。
また、北海道東部と新潟県・長野県北部では、大雪警報を発表する可能性が「中」となっています。
日本に南下してくる寒気の目安として、上空約5500メートルの気温が使われます。
氷点下36度なら非常に強い寒気で、日本海側では大雪の可能性があり、これが東北南部から新潟県付近まで南下してくる予想です(図4)。
上空約5500メートルの気温が氷点下30度なら強い寒気ですが、福井県付近までの南下で、山陰地方では氷点下24度の以下の寒気です。
これまで最強の3回目の寒気南下は、北海道では氷点下42度以下、山陰地方では氷点下36度以下でしたので、北海道は3回目並ですが、西日本では3回目より12度も弱い寒気です。
北日本と北陸では特に警戒
今回の強い寒気の南下では、特に北日本と北陸地方で雪や暴風に警戒が必要です。
また、北日本の日本海側と北陸を中心に、これまでの寒気南下で平年より多くの雪が積もっています(図5)。
多雪地帯では、このところの日中の暖かさで表面が融け、夜間の冷え込みでアイスバーン状になっています
ここに多量の新雪が降り積もると、新設雪崩が発生しやすくなります。
新雪雪崩は、人的被害が大きい雪崩ですので、厳重な警戒が必要です。
変化の大きい一週間
週初めは、発達中の低気圧通過後の西高東低の冬型の気圧配置で日本海側を中心に雪、太平洋側は晴れ、週半ばは移動性高気圧に覆われ全国的に晴れ、週末は南岸低気圧の通過によってほぼ全国的に雨が降る予報です(図6)
天気変化の大きい一週間ですので、最新の気象情報入手に努め、体調管理に十分注意して下さい。
タイトル画像、図3、図4、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに著者作成。
図2の出典:気象庁ホームページ。