梅雨末期の沖縄県で「記録的短時間大雨情報」が発表に
梅雨末期の沖縄県
大気中に含むことができる最大の水蒸気量(飽和水蒸気量)は、気温が高くなるほど加速度的に多くなります。
このため、夏にむかっている梅雨期間は、前半より気温が高い後半の方が流入する水蒸気量が多くなり、大雨となる可能性が高くなります。
毎年のように梅雨後半で大雨が降り、梅雨末期豪雨災害が発生しています。
令和4年(2022年)の沖縄県は、5月4日に平年より6日早く梅雨入りし、梅雨明けの平年は6月21日ですので、現在は梅雨後半に入っています。
そして、5月31日12時20分には、「南城市玉城付近で約110ミリ、南城市佐敷付近で約110ミリ」という記録的短時間大雨情報が発表となる大雨が降りました(タイトル画像参照)。
この記録的短時間大雨情報でいう110ミリは、観測値ではなくレーダー観測値などから求めた解析値ですが、近くの南城市糸数のアメダスでは、11時20分から12時20分までの1時間では99.5ミリを観測しています(11時から12時までの1時間では78.5ミリ、図1)。
沖縄付近に停滞する梅雨前線に向かって、太平洋高気圧を回るように、南海上から暖かくて湿った空気の流入が続いていますので、しばらくは大雨に警戒が必要です(図2)。
記録的短時間大雨情報
気象庁では、大雨警報発表中に、数年に一度程度しか発生しないような激しい短時間の大雨が観測されると、「記録的短時間大雨情報」を発表します。
この情報は、現在の降雨がその地域にとって災害の発生につながるような、稀にしか観測しない雨量であることを知らせ、より一層の警戒を呼びかけるために発表するもので、昭和58年(1983年)10月1日から始まりました。
「昭和57年(1982年)7月豪雨」、「昭和58年(1983年)7月豪雨」と、2年続けて大災害が発生したことを受けて作った情報です。
「記録的短時間大雨情報」は、地上の雨量計による観測、または、気象レーダーと地上の雨量計を組み合わせた分析(解析)で、定められた基準の1時間雨量を超えたときに発表します。
記録的短時間情報での本文「○時」は、「○時までの1時間に」の意味を表し、「都道府県名」、「記録的な短時間の大雨」、「観測した観測点名(解析した市町村名)」、「雨量」という構成です。
ただし、解析による発表では、地名に「付近」、雨量に「約」という言葉がつき、雨量は10mmきざみで、120mmを超える場合は「120mm以上」と表現されます。
最近発表された記録的短時間大雨情報でいうと、1番の木古内と7番の与那国空港が観測値による発表、それ以外は解析による発表です。
この表のように、記録的短時間大雨情報のほとんどは、解析による発表です。
なお、令和3年11月2日の木古内では、10分間に55.0ミリを観測していますが、これは観測史上1位の記録です。
記録的短時間大雨情報の発表基準は、1時間雨量歴代1位または2位の記録を参考に、細分区域ごとに決めてあります。
このため、一番低いのは北海道宗谷・後志・釧路・根室、東京都小笠原諸島、新潟県佐渡、福井県の80ミリ、高いのは三重県、徳島県南部、高知県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県石垣島・宮古島の120ミリと1.5倍の差があります。
記録的短時間大雨情報が発表されたときは、すでに大雨警報が発表されて警戒が行われているときです。
記録的短時間大雨情報が発表されたときは、より一層の厳重な警戒が必要なときです。
タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。
図1、図2の出典:気象庁ホームページ。
表の出典:ウェザーマップ提供をもとに筆者作成。